地域工務店が取り組む中大規模木造建築物

3月18日に一般社団法人JBN(Japan Builders Network)・全国工務店協会(東京都中央区、大野年司会長)の主催で、「地域工務店が取り組む中大規模木造建築物の施工管理マニュアル」オンライン講習会に参加しました。JBN中大規模木造建築物委員会の方々、アルセッド建築研究所(東京都)の武田光史氏が講師となり、実践的なお話を聞くことができました。JBNは47都道府県の約3,000の地域工務店が登録し、年間3万棟以上の新築と30万件のリフォームの実績を上げている工務店による工務店のための全国組織です。

2010年の制定された「公共建築物等木材利用促進法」を契機に、それまで建築が困難であった公共建築の木造化が可能になるとともに、国や地方公共団体は率先して公共建築物の木造化を進めていくことが明記され、以後、民間を含め中大規模木造建築物の施工件数が増えています。

ただ、初期の中大規模木造建築物の多くは大手のゼネコン・建設会社・住宅会社が手掛けており、地域の工務店やビルダーがこの分野に参画することは難しいと考えられていました。JBNは、木造建築の技術蓄積が豊富で、木質材料の特徴を理解している地域工務店こそが先頭に立って中大規模木造建築物を担うべきとの考え方に立ち、精力的に施工技術を研究し、構造設計を含めた建築設計関係者、全国の国産材製品供給事業者などと連携することで、地域工務店でも十分、中大規模木造建築物に取り組むことができることを実証してきました(同協会が発刊した地域工務店の中大規模木造建築事例集は大変参考になります↓)

工務店が取り組む中大規模木造建築.pdf

この事例集では、「公共建築物等木材利用促進法は、戦後造林された人工林が利用可能な時期を迎えたことや地球温暖化防止の環境対策等を背景に、これまでの方向性から180度転換し、公共建築が先導して建築物の木造化・木質化を進めていくこととなりました。また、建築基準法改正では民間の非住宅建築木造化を普及促進するため、防耐火を中心に規制の合理化等が行われました。
 一方最近の木造ブームを背景に、木造に十分な知見のない設計者が設計し、同じく不慣れなゼネコン等が元請となり現場管理をするプロジェクトが増え、その結果余分な費用が掛かり、木造は他の構造より割高だ と言われております。さらに木造に相応しくない納まりで施工がなされ、今後の耐久性にも懸念が残る状況も散見されています」と指摘しています。

木造建築物は長期にわたり木材内部に炭素を貯蔵することで温暖化対策に貢献しています。木造建築物が第二の森林と言われるゆえんです。日本だけでなく先進各国で建築物の木造化、特に中大規模建築物の木造化に力を入れており、CLTなどの新しい木質構造材料や建築技術の開発、木造建築法制度の緩和が取り組まれています。
下表は2017年の建築着工統計に基づく階層別住宅・非住宅の木造床面積ですが、非住宅での木造比率はまだまだ低いのが実情です。

一方、新設住宅需要が頭打ちとなり、今後、確実に減少していくことが予想されるなかで、住宅需要だけに依拠してきた地域工務店はさらなる競争激化が懸念されています。事例集では既に中大規模木造建築物に取り組んでいる地域工務店の事例が豊富に紹介されていますが、S造やRC造から木造に置き換える非住宅建築分野への参入は待ったなしと言えそうです。

クボデラ株式会社では、地域工務店様、関係する建築設計者様などとともに、非住宅建築分野への参画に向けた検討を進めていきたいと考えます。

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