アトリエフルカワ一級建築士事務代表の古川泰司先生が22年6月から「森と建築を一緒に考える」と題し、10回シリーズで対話型セミナーを開始します。古川先生は無垢の木、地域の木材を使った家、左官など自然素材の家を得意としており、木造住宅をはじめ、非住宅木造建築にも精力的に取り組まれています。また、林業、製材、木材加工、建築等の現場にも頻繁に足を運び、地域の人々と話し合いを重ねながら、それぞれの分野の課題や可能性に関しても活発に情報発信されています。
6月から開始する対話型セミナーの狙いは、「森と建築をつなぐためには何をしたらいいのか?」です。参加されるみなさんとの議論で問題点を浮き彫りにして共有し、その解決策を考えていきます。前半に古川先生からの話題提供、後半は参加者との議論で進めていきます。予備知識は一切必要ありません。森と建築をつなぐことに関心がある方であれば、どなたでもご参加ください(定員15人、申し込み多数の場合は抽選)。会場は㈱森未来のセミナースペース(東京都港区芝5-27-6 泉田町ビル 7F)。申し込み締め切りは22年5月31日です。詳細は下記URLを参照してください。会費は10回通しで2万5000円です。
【対話型セミナー】森と建築を一緒に考える (google.com)
セミナー概要は次の通りです。
1回目 6/4(土)16:00-17:30 テーマ:森林・林業・育林
日本の森林の特徴とそこで育まれてきた各地の林業がテーマです。戦後の拡大造林の話から、様々な林業のあり方について語り合いながら、林業と建築について改めて振り返ります。
2回目 6/16(木)19:00-20:30 テーマ:素材生産
意外と知られていないのが素材生産の世界です。素材生産とは森林の木を伐採し丸太にするところまでの作業を言います。ここでは素材生産の問題点に触れ、そこにある様々な技術を通して、山主と素材生産者の関係にも触れていきたいと思います。
3回目 7/2(土)16:00-17:30 テーマ:製材
丸太の価値を高めるのが製材です。合理的な生産でコストを下げることで丸太の価値を上げることもできますし、製材の木取りの仕方次第でも丸太の価値は変わってきます。製材という観点から木の価値のありかたについて考えます。
4回目 7/22(金)19:00-20:30 テーマ:木材の品質と性質
木材の性質に触れながら木材の品質とはなにか?
について考えます。日本では JAS 規格というものがありますが JAS 規格についても掘り下げ、その問題点についても考えていきます。
5回目 8/6(土)16:00-17:30 テーマ:プレカットと生産・流通
いまや木造建築はプレカットなしでは考えられなくなっています。プレカットが木造建築に及ぼした影響、木材の流通経路がプレカットにより一変したことにもふれ、現在、川上,
川中、川下をつなぐ流通に必要なことを一緒に考えてゆきます。
6回目 8/20(土)16:00-17:30 テーマ:木造とは-1 伝統と現代
木造を支えてきた伝統工法と呼ばれる伝統的な考え方を取り上げます。その特徴を概観し現代の木造の考え方との比較で伝統に学ぶべき点を考えます。また木造建築における大工の役割についても考えていきます。
7回目 9/1(木)19:00-20:30 テーマ:木造とは-2 軸組工法
戦後に定められた在来軸組工法の考え方についてふれることで、木造建築の生産について考えます。テーマ 6 に引き続き、職人と木材の関係について考えていきたいと思います。
8回目 9/17(土)16:00-17:30 テーマ:木造とは-3 非住宅とこれからの木造
木造建築は防耐火の規制も整備され、大規模なものが実現可能になっています。住宅の枠を超えた木材活用としても期待されているこれからの木造建築について考えます。
また「木育」についても触れたいと思います。
9回目 10/6(木)19:00-20:30 テーマ:架構と設計
木造建築の設計でいちばん重要なのは構造のモデル化です。架構とボリュームの考えから木造建築の設計について考えます。
10回目 10/22(土)16:00-17:30 テーマ:銘木と役物
ここまでは主に一般流通材としての木材を考えてきましたが、一枚板、化粧板などの銘木や役物について考えていきます。その生産や流通、活用方法などがテーマになります。