竹村先生の新刊が発刊されました


当社のアカデミアとの協業活動に多大なるご理解をいただき、連載コラム「仏教と樹木のいのち」(2021年10月~22年3月)をご執筆いただきました東洋大学元学長で筑波大学、東洋大学名誉教授の竹村牧男先生がこのほど、『空海の究極へ――『秘密曼荼羅十住心論』を読む』(青土社、3600円税別)を上梓されましたので、先生からのごあいさつとあわせご案内いたします。
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竹村先生のごあいさつ

令和四年四月

皆さまへ

冠省
このたび、『空海の究極へ――『秘密曼荼羅十住心論』を読む』を上梓いたしましたので、お知らせさせていただきます。なお、実は本書は『十住心論』全体を読むものではなく、下の目次にありますように、十住心の最後、密教の世界を明かす「秘密曼荼羅住心 第十」のみを読むものであります。

このところ、もっぱら空海に取り組んできておりまして、身のほどをわきまえず、ついにその高峰のいわば頂上に挑戦してみたものです。さすがにその登攀には厳しいものがあり、密教研究の専門家から見れば、私の理解は十全なものとはなっていないかと思います。今は、慙愧に堪えない思いでおります。
一方、全体に、密教系の術語が極めて多くて、そのつど説明したつもりではありますが、一般の方にはなかなかむずかしいものとなっているかとも思います。

ただ、空海の主著『十住心論』がどのような書物であるのかの、一定の理解には何らか資することができるのではないかと思います。また、空海に親しんでいらっしゃる方には、『十住心論』の解説書がほとんどない中、粗笨ながらこれを一つの足掛かりとされて、空海の究極、『十住心論』の「秘密荘厳住心」の本意を、さらに尋ねてくださいますれば幸甚です。その意味でも、「空海の究極」ではなく、「空海の究極へ」です。

もしもご興味がありましたら、書店等にて手に取ってみていただけますと幸甚です。

私自身、さらにその奥義を追究してまいりたいと思います。今後とも、何かとご教示賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具

竹村牧男 九拝

『空海の究極へ――『秘密曼荼羅十住心論』を読む』

《目 次》

まえがき

第Ⅰ部 空海の深奥へ――『秘密曼荼羅十住心論』を読む前に
第一章 空海における十住心思想の形成について
第二章 『秘密曼荼羅十住心論』各住心の内容

第Ⅱ部 『秘密曼荼羅十住心論』「秘密荘厳住心 第十」を読む
序 章 『秘密曼荼羅十住心論』の「帰敬頌」
第一章 自心の源底と法曼荼羅について――「秘密荘厳住心 第十」を読む(一)
第二章 胎蔵海会の曼荼羅について――「秘密荘厳住心 第十」を読む(二)
第三章 金剛界会の曼荼羅について――「秘密荘厳住心 第十」を読む(三)
第四章 真言教法とは何か――「秘密荘厳住心 第十」を読む(四)
第五章 真言教法の秘密について――「秘密荘厳住心 第十」を読む(五)
おわりに

付 録 『秘密曼荼羅十住心論』「秘密荘厳住心 第十」 現代語訳

あとがき

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