我が国の木材業界は長年、新設住宅需要に多くを依存してきました。近年、既存住宅等改修需要の高まりを受けてリフォームにも関心が集まりましたが、リフォーム市場は住設・建材大手メーカー、リフォーム専業事業者、水工・電工関係の施工事業者等が先行し、木材事業者および地場工務店はリフォーム市場で必ずしも優位に立ちまわれていないのが現状です。
国が既存住宅リフォームとともに、木材、特に国産材の期待される市場と位置付けているのが非住宅建築における木造、木質化、そして国産材輸出です。
民間シンクタンクの野村総合研究所(東京都千代田区)はさきごろ、新設住宅市場の中長期予測を発表し、2040年度の新設住宅着工戸数は46万戸まで減少するとの見通しを公表しました。
【参照】クボデラ㈱木の哲人講座 市場・行政編 https://kubodera-zousaku.com/g-46/
新設住宅需要への過度の依存は難しくなる一方です。かといって木材輸出など畑違いという関係者が少なくないと思います。私たちは鉄骨造やRC造で建築されている非住宅分野において、構造材を木に置き換えることに期待しています。
建築着工床面積を階層別に比較すると、1~3階建ての低層住宅の木造率は8割に上る一方で、4階建て以上の中高層建築及び非住宅建築の木造率はいずれも1割以下の状態です。住宅建築での木材需要は依然として重要ですが、中高層及び非住宅分野については木造需要拡大余地が大きいといえます。
低層の非住宅建築も多くが鉄骨造で建築されていますが、小規模建築では戸建て住宅に用いられる工法で建設できるものが少なくありません。それも大断面集成材を使わず、住宅建築用一般流通材でも大スパンを実現できる構法が次々と開発され、材料費や加工費を抑えつつ、鉄骨造並みのコストで低層非住宅建築物を建設できるようになってきています。
こうした市場は地域のビルダー、工務店でも十分に参入できるのではないでしょうか。例えば地域の集会所、公民館、認定こども園等の小規模文教施設、倉庫、ガレージ、カフェ、コワーキングスペースなどです。
【参照】クボデラ㈱木の哲人講座 市場・行政編 https://kubodera-zousaku.com/g-25/
また、構造用集成材、構造用LVL、CLT、ウッドBP材、2×4工法など非住宅木造建築に関する建築材料や工法も進化しています。大スパンを確保した空間設計、また防耐火性能についても規制緩和が進んでいます。木造とすることで、建物が軽量化でき、地盤・基礎が合理化され、軽量性による施工効率の向上で、鉄筋コンクリート造に比べ3か月程度の工期短縮が実現している例もあります。
「都市に第二の森林を」とは、国の脱炭素社会実現における重要な施策となっています。非住宅木造。木質化建築の増加は長期にわたり建物内部に炭素を固定し、二酸化炭素などの地球温暖化ガスの排出を削減します。
【参照】クボデラ㈱木の哲人講座 市場・行政編 地球の炭素貯蔵庫としてのビルディング
前置きが長くなりましたが、2021年10月7、8日の両日、東京ビッグサイト青海展示棟Bホールで、非住宅木造建築フェア等が共催されます。非住宅建築の木造・木質化に関しては最新の製品や技術が一堂に集結し、木材建築材料、プレカット、構造計算、建築工法など、非住宅木造・木質化建築に関する最も新しい情報が勢ぞろいします。また、多数のセミナーも予定されており、第一線で活躍する専門家の知見を知る良い機会になると思います。
後援は、林野庁、全国知事会、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、
(公財)日本住宅・木材技術センター、(公社)日本建築家協会、(公社)日本建築士会連合会、
(一社)日本BP材協会、(一社)全国木材組合連合会、(一社)中大規模木造プレカット技術協会、(一社)日本建築士事務所協会連合会、(一社)日本CLT協会、(一社)日本木造耐火建築協会、(一社)木造施設協議会、大型パネル生産パートナー会、全国森林組合連合会、日本合板工業組合連合会、木造住宅接合金物協会。
協力・協賛は(株)大林組、住友林業(株)、(株)竹中工務店、三菱地所(株)、(株)木構造デザイン。
出展は非住宅木造建築に取り組む木材関係者、プレカット、設計関係、業界団体の機関、国、また国産材産地を代表する地方公共団体も多数参加する予定です。
詳細は下記URLをご覧ください。無料の事前登録もここから行うことができます。
https://www.housing-biz.jp/wooden/selling_proposition.html
クボデラ株式会社では、都市に第二の森林をつくるという目標に向け、皆様とともに取り組んでいきたいと考えます。構造用集成材、CLT、2×4材など、非住宅木造建築に関する材料のご相談、また、内外装木質化に関するご相談にも対応していく所存です。