木密地域での木造・木質化再開発「江北小路」


木密地域をご存知でしょうか。東京23区の山手線外周部を中心に分布する木造住宅密集地域を指します。江戸は当時世界最大の木造都市として栄え、現在も木密地域が多く残ります。木密地域には木造住宅が高密度に建ち、狭隘な道路も多いため、災害時の大きな被害が想定され、都市防災の観点から課題のある地域です。一方、木密地域は日常生活が外部に滲み出した家々や親密性のある通りが生活風景として魅力ある街並み、下町風情を形成しています。
現在、東京都では木密地域からコミュニティを維持しつつ移転を促すため、移転者向けの魅力ある共同住宅を近隣の都有地に整備する事業に取り組んでおり、木密地域の多い足立区でも複数の事業が進められています。このほど竣工した「足立区江北木密移転先プロジェクト」(江北小路)」もそうした取り組みの一つで、広大な足立区立江北平成公園に隣接して建築された共同住宅は木造・木質の3階建て準耐火建築(第一種中高層住居専用地域)で、一部は木密地域から移転するものです。

事業主は公益財団法人東京都都市づくり公社。構造は木造、一部鉄骨造で、敷地面積775.75平方㍍、建築面積449.31平方㍍、延床面積1142.54平方㍍。地上3階建てで軒高9.417㍍。防耐火は準耐火建築物(1時間)。設計監理は株式会社スタジオ・クハラ・ヤギ、構造は株式会社KAP、設備は株式会社環境エンジニアリング、防耐火は桜設計集団、施工は三菱地所ホーム株式会社です。建て方は木村建造株式会社などが担当しました。

木構造は1階テナントがFMT構法、2、3階共同住宅が在来軸組構法で、2階の床スラブはカラマツ集成材厚板パネル(FMT)210㍉厚、3階及びR階のスラブはカラマツCLT210㍉厚で構成されています。

FMT(FLAT MASSTIMBER)構法は2020年に建築物木構造新構法として開発されたもので、構造用集成材で構成された厚板パネルと鉄骨によるハイブリッド構法で、専用金物と集成材厚板パネルで構成された高耐力高靭性の構造材です。特にスラブは鉄骨梁とのハイブリッドにより従来の木造工法では難しかった大空間やキャンチスラブ(片持ちスラブ)を実現できます。同建築物でも1階のFMTスラブは片側5㍍規模でせり出しており、2階スラブも両側せり出しで通路(共用廊下)となっています。

外壁は多摩産の杉板縦羽目張りサイディングとし、シッケンズの木材保護塗料で仕上げています。木材使用量は約350立方㍍(うち構造用集成材185立方㍍、CLT65立方㍍)。

建物は1階がテナントスペース、2、3階が共同住戸で、1ルーム、1DK、2LDK、3LDKの合計16戸。2階の5戸が木密地域からの移転先対象住戸となっています。木密地域の路地を再現した「みんなの小路」が中央に設置さら、各住戸も昔ながらの交流が楽しめる設計となっています。所在地は東京都足立区江北4-18です。


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