空間デザイナー×メーカー×施主の3者をつなぐプラットフォームの企画・運営を行うBAMBOO MEDIA(東京都港区、笈川誠社長)は5月25、26日、東京都立産業貿易センター浜松町館で、「BAMBOO EXPO15」を開催し、約80の建築資材メーカーが出展しました。
https://www.bamboo-media.jp/whats-bamboo/ (BAMBOO MEDIAサイト)
http://bamboo-expo.jp/ (BAMBOO EXPOサイト)
展示会の特徴は、ジャパンホームショー、建築建材展、リフォーム産業フェアなどのような大規模ものではありませんが、各社が力を入れている製品や新たなビジネスモデル提案が出展の中心で、出展者と来場者の直接対話を重視するスタイルです。出展者に伺ったところ、ここでの対話がきっかけとなってビジネスにつながるケースが少なくないとのことです。来場者もデザイナー、建築設計、デベロッパー、店舗内装製造・施工事業者が中心で、若い人・女性が多い点も特徴の一つと感じました。
この展示会は2011年にスタートし、年間1~2回開催されています。商空間を構成する建材や多様なエレメントを集結させた展示会として、設計者/デザイナーと施主/デベロッパー、そしてメーカー/ベンダーという3者をつなぐ、「商空間づくり」に特化した新しいスタイルのトレードショーを目指しているとのことです。
そのため、来場者数を追い求めることよりも、恒常的なコミュニケーションを生み出すネットワークづくりにフォーカスすることで、的確にリーチする商空間づくりの「素材」を広く紹介していくことに力を入れています。次回も同じ会場で21年11月ごろの開催を予定しています。
出展品目は、照明器具、洗面設備、装飾ガラス、左官材料、什器・家具、IOTソリューション、建具、内装木材、壁紙、音響・映像・演出照明、石材、ファブリック、内装装飾、ブラインド、空間フレグランス、ユニフォーム、デザインパネル、リキッドウォールペーパー、吸音材、建築用CG、電気ヒーター、デジタルサイネージ、営業支援ツール、カーテン、特殊金属加工、グラデーション粉体塗装など。普段、木材・建材系建築資材を見慣れている立場としては驚くものが多く、実に多様な原材料による建築資材、設計技術があるものだと感心させられました。
会場には、家具、照明器具、生活雑貨などを企画・設計・製造・施工販売している株式会社ワイス・ワイス(東京都新宿区)も出展していました。同社は乃村工藝社の佐藤岳利さんが社内ベンチャーとして立ち上げた会社で、さきごろ内装用木材製品製造販売大手である株式会社マルホン(静岡県浜松市)と経営統合し、現在はマルホンの関連会社として活動しています。佐藤さんは引き続き、最高執行責任者(COO)としてご活躍で、長年、地球・人間環境フォーラムなどと取り組んでおられるフェアウッド研究部会も継続されています。
以前、佐藤さんは、千本ノックのごとく、フェアウッドの重要性を説き続けるとおっしゃっていました。その時、なぜ、私がフェアウッドを説き続けるのか、長時間にわたりご説明いただいたことがあります。佐藤さんのフェアウッドへの思いに共鳴する人は全国に大勢います。https://wisewise.com/
同社は現在、全国100カ所以上の地域材ネットワークを駆使し、地域資源を地域内で価値の最大化を図る「顔の見える家具・空間づくり」に取り組んでいます。アウトドア用品大手のパタゴニア、ITソリューションのドリーム・アーツ、Soup Stock Tokyoの100本のスプーン、スターバックス、南三陸・板倉の家復興住宅モデルなどの木製内装や家具、また各地で国産材、地域材を活用したホテル内装なども手掛けています。
同社の最近のトピックは、このほどプロデュースした東京・根津の集合住宅です。この集合住宅は、延床面積378.16 ㎡(114.39 坪)、住戸10戸。木造平屋ですが、専用庭を持ち、東北の栗、杉を使ったインテリアと造作家具が標準装備し、居住される方の居心地の良さと、地域の方々との調和に配慮した『サステナブルライフスタイル アパートメント』です。
内装は、自然素材である木を多用し、木による手触り、歩いたときの床のクッション性の良さ・香りによるリラックス効果、木の調湿効果による快適な空間で心と体に優しいインテリアを目指しています。床・階段・窓枠・カーテンボックス等には東北の栗、天井には杉。キッチンや下足箱には東北の栗突板を使用しています。
同社では、この集合住宅内にワイス・ワイス トゥールス2 号店『WISE・WISE tools 根津』を開業しました。同店は、ギャラリー&ショップで、素材感を活かした器などの「食の道具」、空間に彩りを添える「生活の道具」、お洒落を楽しむ「身につける道具」など、日々の生活を豊かにしてくれる「暮らしの道具」を取り揃えています。
佐藤さんは、地域林業の六次産業化を実現し、地域の雇用を創出し、地域に収益が還元されることではじめて山村地域が活性化すると語っています。木材をはじめ、和紙や器など、地域に根差した諸々を実に美しく、その特徴を引き出す力は見事なものです。
ただ、木製家具を製作するのではなく、優れたストーリー性を織り込み、機能性と意匠性を追求し、何よりもユーザーに選んでもらえるものづくりを目指す、栗駒、諸塚などの木材活用した家具等の製品づくりの原点もここにあります。