木繊維内装用充填断熱材「シュタイコフレックス038」とは
家のなかに森をつくる
木繊維で建物を覆う STEICOは、例えるなら森のなかで暮らすような心地よさ。真夏の森にひっそりとたたずむ住まいで、澄んだ空気のなか、こころ静かに家族で時を重ねる。そんな豊かな暮らしを体感していただけます。木繊維内装用充填断熱材「シュタイコフレックス 038」(STEICO Flex038)は、冬の寒さだけでなく、夏の不快から暮らしを守ります。
真夏の暑さをシャットアウトする熱容量
最も注目される特徴は、様々な断熱材の中でも極めて熱容量が大きい点です。熱容量とは、物体の温度を1℃高めるのに必要な熱量のことです。この数値が大きいほど温まりにくくなります。外気温が40℃の時、屋根瓦の温度は80℃にも達します。一般的なグラスウール断熱材の場合、真夏に 11 時間以上高温にさらされた屋根から断熱材を通過して外の熱が侵入し、室内は30℃以上の耐えられない暑さになります。
しかし、「シュタイコフレックス038」なら真夏の日中の暑い外気温を断熱材内部に蓄えることで室内に届きにくく、外気が涼しくなると蓄えられた熱は外部に戻ります。シュタイコ社の試験では、外気温が 35℃となった午後2時時点でも室内は16℃前後、室内最高温度は21℃でした。同じ方法でグラスウール断熱材を測定したところ、室内温度は午後4時過ぎからも上昇し、午後8時頃でも28 ~ 29℃でした。
こうした違いは、約50 ㎏/立方㍍という高密度・高蓄熱性断熱材「シュタイコフレックス038」の熱容量が 2100J(㎏・K)だからです。従来の断熱材は、冬の寒さを防ぐ熱伝導率を重要視し、熱容量を注目してきませんでしたが、私たちは、熱容量こそが日本の蒸し暑い夏を快適に過ごす最も重要なカギであると考えます。もちろん、冬の寒さにもしっかりと対応します。
非常に遅い熱拡散性
熱伝導率 [W/m3*K] は、熱拡散率 [m2/s]× 比熱 [J/K・kg]× 密度[kg/m3] から導き出されます。つまり、熱拡散率が小さければ熱伝導率も低く抑えられます。
「シュタイコフレックス038」の熱拡散は1時間当たり 13 平方㌢㍍です。熱容量の大きさと関連する性能ですが、グラスウールで同 53 平方㌢㍍、ロックウールでは同 90 平方㌢㍍です。金属の熱拡散は極めて高く、アルミは 2895 平方㌢㍍(同)にもなります。金属に触れると冷たく感じるのは、指先から金属に熱が移動するからです。
夏の暑さ対策のポイントは非常に遅い熱移動と限りなく低い熱拡散性にあります。「シュタイコフレックス038」は、熱の移動しやすさを示す熱伝導率が 0.038 (W/m*K) と優れた断熱性も実現しています。
夏の蒸し暑さ、冬の結露を防ぐ
「シュタイコフレックス038」の透湿抵抗は 106ng/m・s・Paです。蒸し暑い日本の夏の気候でも快適な室内空間を保ちます。木繊維断熱材は一般的なグラスウールやEPSに比べ、はるかに調湿性能が高く、高い室内湿度調整機能があり、壁体内結露のリスクを抑止します。
「シュタイコフレックス038」を採用した調布市内の住宅では、放射熱源を上下階に1台ずつ設置することで、エアコンをほぼ稼働させずに1年じゅう快適に過ごせる室内空間が実現しました。また、大阪府で「シュタイコフレックス038」を導入した施主様は、「大阪の夏でも2階だけでなく小屋裏まで涼しい」ことに驚いていました。
原材料は木材、有害化学物質を含みません
「シュタイコフレックス038」の原材料は針葉樹の端材です。有害な化学物質は一切含まれていません。原材料はすべて FSC、PEFC 認証の木材から製造されております。また、水や空気など環境に配慮された製造工程で管理されています。
一般に木材は成長する過程で約1㌧の二酸化炭素を蓄え、0.7トンの酸素を発生させます。そして木材に蓄えられた二酸化炭素は炭素となって断熱材加工後も長期にわたり製品内部にとどまります。
健康・環境にやさしいホウ酸による防蟻処理が行われています。第三者機関監視のもと、シュタイコ社は無公害で有害性のない製品として認定されています。ホルムアルデヒドを放散する化学物質を含まないため、居室の内装仕上げや天井裏等に、規制を受けることなく使用することができます(告示対象外)。
EPD 認証を取得しています
シュタイコ社は IBJ 研究所会員をはじめ、バウビオロギー協会会員、パッシブハウス協会会員として、環境と快適な生活を護る活動に取り組んでいます。欧州の厳格なエコ認証も取得しており、オリンピック・パラリンピックで使用される建材に必要な EPD も取得しています。EPD とは、EPD情報の受け手である消費者や使用者にとって、買おうとする製品やサービスがどの程度環境に配慮しているかを数字で確認できる仕組みです。
環境マークというと「エコマーク」がよく知られていますが、エコマークが付いた製品では、その製品が作られてから使われ、捨てられるまで、製品の一生涯の環境影響はどれくらいか、という情報を消費者が得ることはできません。EPD マークが付いている製品の場合、その製品の一生涯の環境影響はどのくらいかという情報を、誰でも見ることができるよう公開されているという特徴があり、一生涯の環境影響や環境に関する情報を開示する環境ラベルを特に「タイプⅢ環境ラベル」といいます。
また、一生涯の環境影響を数字に表したものを「ライフサイクルアセスメント」といいます。製品の環境影響を数字で表すことにより、メーカー側の環境に関する大げさな宣伝を抑制し、消費者自身が客観的に環境に配慮した製品を選択できるように、検証された情報だけが提供されることになります。EPD の認証をとるためには、EPD 認証機関の審査を受けて、開示する内容が適切であることが証明されなければなりません。
図書館なみの静かさです
「シュタイコフレックス038」は遮音・防音性能にも優れています。あらゆる部位に強く密着し隙間をなくすので、効果的に外部音を遮ります。大通りに面した室内でも35 ㏈(デシベル)まで騒音を遮ることができます。
押し込むだけの簡単施工
「シュタイコフレックス038」は汎用性の高いサイズでカットされおり、そのままのサイズで大半の壁面に使用できます。断熱材を充填する箇所のタルキ、間柱などのサイズより5~ 10 ㍉ほど大きめにカットして、軽く押し込むことで断熱性を確保できます。小さな隙間や空間には切断した端材を押し込むことで隙間なく施工することができます。具体的な施工につきましては、別掲の標準施工PDF及びYouTube動画を参考にしてください。
壁構造は外側から、外装材、通気層、透湿防水シート、透湿性に優れた構造用面材となります。「シュタイコフレックス038」を充填し、内側は透湿性に優れた構造用面材、可変調湿シート、石膏ボード、内装仕上げ材となります。準防火地区、防火地区でのご使用の際は告示仕様で施工してください。
きめ細かく納材していきます
クボデラ株式会社では、相模原販売所(神奈川県相模原市)で 20 年9月から「シュタイコフレックス038」を在庫し、邸別できめ細かく出荷していきます。既に多くの販売店、工務店、設計関係者からお引き合いをいただいております。木繊維断熱材という新たな差別化商材を多くの需要家に知っていただき、安定供給に努めてまいります。今後、外断熱用木繊維断熱材「シュタイコプロテクト」(STEICO protect)の日本市場での販売も進めていきます。
お問い合わせは東京営業本部(電話03-3386-1153 )までお願いします。カットサンプル、詳細資料等もご準備いたします。
シュタイコ木繊維断熱材の各種資料を用意しました
シュタイコ木繊維断熱材フレックス038の仕様と物性
用途 | 内装用充填断熱材 |
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サイズ | 1枚当たり100㍉厚×1220㍉長×390、430㍉ |
重量 | 430㍉厚(0.52㎡)で約2.6㎏(1枚)、390㍉厚(0.48㎡)で約2.4㎏(1枚) |
梱包 | 1梱包3本入り(300×390、430×1220㍉) |
成分 | 木繊維、PP繊維、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩(防蟻処理仕様) |
熱伝導率 | 0.038(W/㎥・K) |
熱抵抗値 | 2.6(㎡・K)/W |
密度 | 50㎏/㎥ |
透湿抵抗値 | 0.5μ |
熱容量 | 2100J(㎏・K) |
熱拡散性 | 13㎥/1時間 |
空気透過抵抗値 | 5kPa・s/㎡以下 |
ホルムアルデヒド | 0.02mg/㎡ |
TVOC(C6-C16) | 80μg/㎡ |
発がん性物質 | 0μg/㎡ |
生産・品質管理 | EN1371に準拠 |
【施工の要点】
①下から順に積み上げるように押し込む。
②タルキや間柱、上下の隙間より10㍉ほど大きめにカットして押し込む。
③小さな隙間や空間にはカットした端材を押し込む。
【注意点】
①面材で耐力を取ってください。筋交い、耐震金物等を使用することで木繊維断熱材が十分に充填でき
ないとヒートブリッジが起こりやすくなります。
②非常にかさばるため一度に大量の輸送はできません。住宅1棟分で4㌧車2台分での分納となります。
③現場納材の際は事前に保管場所を確保したうえで受け入れを行ってください。
【実寸カット】
クボデラ㈱では必要とする寸法に合わせ、保管場所であらかじめ実寸カットを行います。
ドイツ木繊維断熱材STEICO Flex038施工について
耐火性能試験の様子
シュタイコ本社で、グラスウール、ポリエステル、木繊維の3つの断熱材を対象に耐火性能試験をしました。断熱材で作った箱をバーナーで燃やし、その様子を比較しました。結果はグラスウール、ポリエステルがあっという間に燃え落ちてしまったのに対し、木繊維の箱は外側が炭化するにとどまり、内側は無事でした。
木繊維断熱材シュタイコ|透湿実験
シュタイコ木繊維断熱材は呼吸する断熱材です。透湿率は106ng/m・s・Pa(JIS A1324に基づく)です。透湿することで、湿気から建物を守ります。透湿性能についての比較動画を参考にしてください。
木繊維断熱材シュタイコ|透湿実験
シュタイコ木繊維断熱材を輸入販売するイケダコーポレーション(大阪府)ではこのほど、シュタイコ最大の特徴である熱容量について、競合断熱材との比較試験を行いました。外部から屋根への太陽光の照射をハロゲンライトで再現し、10時間でどの程度、熱が移動するかの試験です。
スタイロ系(熱伝導率0.032W/m*K)、高性能プロスチレン系(同0.028)、高性能フェノール系(同0.019)、木繊維断熱材シュタイコのプロテクト(同0.044)の60㍉厚を試験体に用いました。熱を照射し、断熱材の下の設置した温度計で変化を測定するものです。
結果は、25.5℃前後だったものが、10時間後、スタイロ系46.9℃、高性能ポリスチレン系44.2℃、高性能フェノール系46.9℃、木繊維35.8℃でした。熱容量が大きく、熱拡散性が小さい木繊維は最も熱を伝えにくい断熱材であることがわかります。
この動画では、シュタイコ木繊維断熱材を標準仕様としている株式会社木又工務店の木又誠次代表取締役による採用による感想も紹介されています。ぜひ、ご覧ください。
断熱材ではなく、次世代のための家造り
グラスウールをはじめとする断熱材のメリットは省エネ性と冬の温かさです。しかし、気候の変動で、この先真夏はさらに高温になり、冷房によるエネルギーが急増することが予想されます。そのためこれからの断熱には、寒さだけでなく夏の暑さを防ぐ性能が求められます。シュタイコ断熱工法は、非常に高い熱容量と低い熱伝導率で、日本の灼熱の真夏でも快適な暮らしを実現します。
冬だけでなく夏も快適
シュタイコは透湿性があるため、過度な湿気から遮り最適に調湿することで、蒸し暑い梅雨時や真夏でもカラリと涼しい室内環境を創ります。また、シュタイコは防音効果も持ち合わせており、騒音を減少させ心地よい音響効果をもたらし、静かでストレスのない生活環境を提供します。また際立って耐久性のある断熱工法であることも約束します。シュタイコで覆われた家は機能性が高いだけでなく安全性も考慮されているので、居心地よく安心して暮らすことができます。