シュタイコ木繊維断熱材を組み込んだ軸組フルパネルを開発

【樹脂サッシ、透湿防水シートまで組み込んだ壁パネル】

【樹脂サッシ、透湿防水シートまで組み込んだ壁パネル】

埼玉県内を拠点とする地域ビルダーの増木工業株式会社様(埼玉県新座市、増田敏政代表取締役)はこのほど群馬県の提携先プレカット工場において、木繊維断熱材を組み込んだ独自開発の木造軸組フルパネルを製作しました。木繊維断熱材を組み込んだ木造軸組パネルは日本で初めての取り組みです。同社ではさらに同パネルの進化に取り組み、将来、同モデルに関する設計施工、CAD作成等のノウハウを同社の木造非戸建て建築事業にも波及させていくとともに、全国のビルダー、工務店への技術供与を含めた連携も模索していく考えです。

今回製作した木造軸組フルパネル構成は、開口部にYKK APの高性能樹脂サッシ(APW)を組み込み、軸組管柱は和歌山県産桧KD柱角(山長商店、JAS機械等級区分構造用製材E-110)とし、耐力壁には鉱物原材料バーミキュライトを主成分とするモイス、シュタイコ社の木繊維断熱材プロテクト(原板寸法:2275㍉長×600㍉幅×60㍉厚、比重180㎏)による付加断熱、ウルト社の外壁側透湿防水シート(ウートップトリオUV2sk)および通気胴縁となっています。さらにリサイクル木質繊維系多機能セルロースファイバーによる充填断熱を施します。外装材はガルバリウム鋼板サイディングとなります。

断熱性能はHEAT20のG2に適合、耐震等級は3です。施工現場は埼玉県富士見市(延床面積約30坪)、OMソーラーによる全館空調となる予定です。

【木繊維断熱材プロテクトによるパネル】

【木繊維断熱材プロテクトによるパネル】

シュタイコ木繊維断熱材プロテクトおよび可変調湿シートや各種防水シート、各種気密防水テープ、ビスなどのウルト社建築副資材はクボデラ株式会社が納入しました。

同社がフルパネル化を決断した理由はいくつかあります。第一に圧倒的な生産性向上です。今回、製作するパネルは、壁パネル18枚、羽柄パネル8枚、屋根パネル10枚で、壁パネルの最大寸法は3640×2530㍉ですが、これらのパネル製作にかかる日数は2日間です。これらの諸工程をすべて現場で行った場合、3週間近くを必要とします。
当然、施工期間中は現場監督が付きっ切りとなるため、その人員配置も大変になります。大工等の確保とローテーションも煩雑になります。同社では年間20棟強の新築住宅施工を見込んでいますが、フルパネル化することで大幅な現場省力化を図ることができます。
現場施工の場合は天候にも大きく左右されます。特に自然素材系建材を多用しており、現場養生で雨がかり等の問題が発生する恐れがあります。また、建築部材を発注してそれぞれを現場搬入する場合、発注から受け入れまでの管理が非常に煩雑となりますが、工場で一元管理することでそうした課題が解消されます。
今回、ご使用いただいたシュタイコ木繊維断熱材プロテクトは原板寸法が2275㍉長×600㍉幅×60㍉厚ですが、すべてが原板寸法で使用できるものではなく、多くは工場で実寸にカットして使うことになります。同社によると、プロテクトの歩留まりはほぼ100%とのことで、事前にCAD図面で最適歩留まりを計算することにより、端材ロスが極力解消できました。

【カットされた木繊維断熱材プロテクト】

【カットされた木繊維断熱材プロテクト】

第二に施工精度の向上があります。あらかじめ作成したCAD図面に従い、工場内で接合を含めすべて行うことにより、ビスの打ち忘れなど施工ミスを削減することができます。狭小現場での工事は施工作業が大変なことから生産性の低下も問題となります。工場でパネル生産することで製造工程記録が残り、施工品質管理も大幅に向上します。

【YKK APの高性能樹脂サッシ、左の黒テープはウルト社のサッシ内側発泡テープ】

【YKK APの高性能樹脂サッシ、左の黒テープはウルト社のサッシ内側発泡テープ】

第三に現場のごみが出ないことがあります。サッシ取り付けまで行うフルパネル化により、現場で発生する建築廃材、パッケージ等の廃棄物がほとんどなくなり、現場をきれいに保つことができます。同社では自然素材系建築資材比重を高めることで、住宅取り壊し時における環境負荷の軽減、分別処理100%まで視野に入れています。これは同社のSDGsにもつながる取り組みであるとしています。

第四に国産材活用という考え方があります。これまで同社ではホワイトウッド集成管柱を標準としていましたが、今回は桧KD機械等級区分構造用製材(E110指定)による無垢の管柱としました。これまで構造強度面で国産材針葉樹無垢構造材では難しい面があったそうですが、これを契機に、積極的に国産材を取り入れていく方針と聞きました。

【壁構成:右から桧KD機械等級区分構造用製材、モイスTM、木繊維断熱材プロテクト、ウルト社外壁側透湿防水シート】

【壁構成:右から桧KD機械等級区分構造用製材、モイスTM、木繊維断熱材プロテクト、ウルト社外壁側透湿防水シート】

同社では断熱材を組み込んだフルパネル方式での新築住宅を今後、年間20棟ほど計画しており、次段階では同社の木造非戸建て建築にも応用していきたいとしています。
また、今回のフルパネル化をさらに進化させ、全国のビルダー、工務店への総合支援として、企画・設計、プレカット図面作成、パネル製造・出荷まで同社で行い、提携先のビルダー、工務店が施工していく新しい事業モデルの確立についても検討していく考えです。

日刊木材新聞に紹介された記事 PDF
【モイスTMの開口部加工の様子】

【モイスTMの開口部加工の様子】

【施工現場への出荷を待つ木造軸組フルパネル】

【施工現場への出荷を待つ木造軸組フルパネル】

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