はじめに
外構部の木質化対策支援事業の公募が始まりました。いずれも林野庁の事業ですが、2種類あり、一つは全国木材組合連合会(全木連)が事業主体となっている「外構実証型事業」、もう一つは日本住宅・木材技術センター(住木センター)が事業主体となっている「企画提案型実証事業」です。
いずれもこれまで木材利用が多くなかった外構部の木質化を推進する事業です。特に全木連が事業主体となっている「外構実証型事業」は毎年、多数の公募申請があり、早期に予算額に達する人気のある事業ですが、今年度は2回に分けての募集となっています。それぞれの事業を簡単に解説します。
外構実証型事業
R4_jishiyouryou.pdf (kinohei.jp)
申請の要件は、外構実証型事業の対象施設を施工する工務店、建築・建設業者等であって、実施要項すべての要件を満たすもの(上記URL参照)となります。対象となる施設は、建物の外部にある施設で、具体的な外構材品目は「塀」と「デッキ」です。
使用する木材は、合法伐採木材等の流通および利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)に基づき、合法性が確認された合法伐採木材、利用部位に応じて耐久性を有する木材となります。基本的には保存処理薬剤による耐久性処理の証明が必要になります。耐久性に関する詳細は上記URLの別紙を参照してください。
外構実証型事業の事前申し込み期間は第1次募集が2022年5月17日から5月31日まで。第2次募集が2022年6月21日から7月8日まで。事前申し込み受付状況等で期日前に締め切る場合もあります。
同事業の事業申請受付期間は第1次募集が22年6月17日から6月27日まで。第2次募集が7月12日から7月22日までとなります。
塀
対象となる木の塀は延長1㍍当たり0.04立方㍍以上の木材を用いて整備するもので、当該塀全体で0.4立方㍍以上の木材を用いるものとなります。
塀の助成対象経費は、全ての木材をクリーンウッド法に基づく登録木材関連事業者から調達する場合、または登録事業者が塀を施工する場合は、予定延長に1㍍当たり2万円を乗じた金額および塀の実際に要した整備のうち最も低い金額。上限は1施設当たり600万円です。登録事業者以外の場合は、塀の予定延長1㍍当たりに1万円を乗じた金額および塀の実際に要した整備費の最も低い金額。上限は300万円です。
デッキ
デッキは床面積1㎡当たり0.05立方㍍以上の木材を用いて整備するもので、当該デッキ全体で0.5立方㍍以上の木材を用いるものとなります。
主な部材の寸法は原則として、束は89㍉以上×89㍉以上、大引は89㍉以上×89㍉以上、床板の厚さは大引の間隔900㍉未満の場合、30㍉以上、大引の間隔900㍉以上の場合、38㍉以上。
デッキの助成対象経費は、全ての木材をクリーンウッド法に基づく登録木材関連事業者から調達する場合、または登録事業者が塀デッキを施工する場合は、予定床面積に1㎡当たり2万円を乗じた金額およびデッキの実際に要した整備のうち最も低い金額。上限は1施設当たり600万円です。登録事業者の場合は、デッキの予定床面積1㎡当たりに1万円を乗じた金額および塀の実際に要した整備費の最も低い金額。上限は300万円です。
なお、デッキは基礎を施工するなどして、屋外に固定され、容易に持ち運びができないものとなります。
塀、デッキともに外構実証型事業として採択する旨の通知をした日付より前に施工着手していないものが対象となります。
また、本事業以外に国、地方公共団体、その他の公的機関からの補助を受けていないものとなりますが、地方公共団体およびその他の公的機関が実施する補助において、その財源に国庫からの助成金、交付金その他国の資金(地方交付税は除く)が含まれていないことが確認できる場合はこの限りではありません。
同事業への申請は、全木協連が運用するホームページ上の「外構部の木質化対策支援事業」(下記)にアクセスし、事業の申請を行います。https://www.kinohei.jp/
申請書の作成及び事業の内容等に関する問い合わせ先は下記の通りです。
全国木材協同組合連合会内 外構部の木質化対策支援事業 事務局 〒107-0052 東京都港区赤坂 2-12-13 UHA 味覚糖赤坂ビル 3F TEL 03-6550-8540 FAX 03-6550-8541
email info@kinohei.jp
企画提案型実証事業
企画提案型実証事業 外構部の木質化対策支援事業 (kinohei.jp)
この事業は住木センターが事業主体となり、これまで木材利用が低位であった施設等の外構部の木質化により、木製外構の認知度の向上や木製外構に関連する知識の普及並びに情報の収集等の取組を支援することにより、木材の新たな需要を創出することを目的とするもので、外構部に利用できる木質部材の普及、耐久性を向上させる維持管理の方法など技術的な課題への対応等先進的な取組の効果を実証する事業を支援します。
事業規模は、助成額全体で約1億1500万円を予定しています。採択する件数の目安は10件程度です。なお、1 件あたりの助成金の上限額は 3000万円とします。助成対象経費は上記URLを参照してください。
公募期間は2022年4年5月11日~6月24日です。
対象施設は、外構部の木質化に係る先進的な取組の効果を実証するもの、または広く普及効果を実証するものであって、屋外に設置される外構施設(戸建住宅の外構施設を除く)で固定されているもので、なおかつ、上記URLの公募及び実施要領に定めるすべての要件を満たすものとします。
対象事業は、①木材・製品・技術の性能等の検証に関するもの。外構部における木材の新たな利用方法等を企画し、性能等を確認するもの。
例として、木製遮音壁を整備し、耐久性、耐候性及び遮音性を確認する。利用者でも交換可能な部材の活用や施工方法で木塀等を整備し、維持管理の容易性を確認する。木ならではの質感、デザイン性等を活かした木製外構施設を整備し、木質化による設計から維持管理までのコストへの影響を確認する。新しい技術、工法等を用いて、これまで木質化が進んでいない外構施設の木質化に取組み、当該施設に求められる性能を有するかを確認するなど 。②利用者や社会に及ぼす効果等の把握に関するもの。木質化した外構施設が利用者や社会に及ぼす効果等を把握するもの。
例として、地域材を利用した木塀を広範に整備し、地域景観への影響やシビックプライドの醸成効果を把握する。木製遊具を整備し、利用者の受ける印象や行動への影響を把握するなど 。
対象とすることができる施設は、外構部の木質化に係る先進的な取組の効果を実証するもの、または広く普及効果を実証するものであって以下の要件をすべて満たすものとします。
屋外に設置される外構施設(戸建住宅の外構施設を除く)で固定されているもので、一申請につき、3立方㍍ 以上(仕入量ではなく、完成した施設に存する量)の木材を用いて整備するもの。合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(以下「クリーンウッド法」という。)に基づく登録木材関連事業者(以下「登録事業者」という。)が施工するもの。 住木センターが企画提案型実証事業として採択する旨の通知をした日付より前に施工着手していないもの。耐久性に関する事項は「外構実証型事業」と同様です。
応募書類の作成及び事業の内容等に関する問い合わせ先は下記の通り。
公益財団法人日本住宅・木材技術センター(担当:佐野、太田原)
〒136-0075 東京都江東区新砂 3-4-2 TEL 03-5653-7581 mokuzai@howtec.or.jp