国土の復興、高度成長を支えた北米産材
[北米西海岸産地から供給される米松製材]
北米産地から木材が輸入されたのは、関東大震災で甚大な震災被害を被った東京の復旧・復興需要向けがその始まりと言われます。
カナダを代表する総合林産大手企業で、ブリティッシュコロンビア州に多くの森林資源を有していたマックミランブローデルが、地中杭となる米松丸太を供給したことに遡り、以後、戦争による中断期間を除き、北米産地は一貫して主要な木材供給先として、日本市場の建築用材、土木産業用材需要を支えてきました。
[カナダ産SPF製材]
特に戦時供出で国内森林資源の過伐が行われ、戦後復興需要の拡大に国産材資源が対応しきれないなか、北米や東南アジア産の輸入木材は、まさに戦後復興を支えるとともに、安定した原材料供給力を背景に、日本の木材産業の近代化を後押ししてきました。
日本と結びつきが深いブリティッシュコロンビア州、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州、アラスカ州といった北米西部沿岸産地の針葉樹は、米ツガ(=ウエスタンヘムロック、マツ科ツガ属)、米松(ダグラスファー、マツ科トガサワラ属)、米ヒバ(イエローシダー、ヒノキ科)、シトカスプルース(マツ科)、米杉(ウエスタンレッドシダー、ヒノキ科)が有名です。木曽五木ならぬ北米材五木です。
カリフォルニア州からブリティシュコロンビア州沿岸地域は、北太平洋を流れる黒潮の影響で、降水量が多く、比較的温暖な気候のため、巨大な針葉樹天然林が生育する地域として知られています。ちなみにバンクーバーからシアトル周辺海域は、世界的に有名な巨大海洋生物の宝庫で、林業とともに、早くから水産業も盛んでした。
北米産地も1980~90年代から森林に生息する動植物保護に関する取り組みが本格化し、大きく変化しました。保護林の拡大に加え、森林の多様性、持続可能な森林経営といった、今日のSDGsにつながる新たな価値観が導入され、森林管理や原産地証明、森林認証など、現在、世界で最も厳格な基準を設けて取り組んでいます。
当社が取り扱っている北米材を紹介します。
[90年代半ばから本格的に入荷が開始された欧州産針葉樹製材]