「CLT構造材は立方㍍14万円が助成されます」
JAS構造材実証支援事業がスタート
一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)から「令和5年度JAS構造材実証支援事業」が公表されました。林野庁が実施する川下型木材需要拡大施策の目玉となるもので、毎年応募が殺到し、あっという間に予算枠に達してしまう事業です。今年度は2次の公募が予定されており、1次募集は5月8日から6月2日までとなります。
同事業の活用を検討される事業者は事前にJAS構造材活用宣言事業に基づいて、「活用宣言」を登録します。書式の作成は短時間で完了できると思います。これらの活用宣言に関する書式を一般社団法人全国木材組合連合会へ送付してください。受付期間は令和5年4月3日から令和6年3月22日までです。
【事業フロー】
JAS構造材実証支援事業の対象物件は次の通りです。
・建築確認申請書または建築工事届の建築主が国に該当せず、建築物の用途が本事業の規定に沿う建築物。
・3階建て以下の居住専用住宅及び事業併用住宅を除く建築物。
・建築物において基礎より上部の躯体部分の建築工事に本事業以外の国、地方公共団体、公的機関からの補助を受けていない建築物。ただし、国の資金が含まれない地方公共団体の財源による単独事業の助成は併用できます。
・助成対象の床面積(4階建て未満の建築物の非木造部分を除く)が10平方㍍を超える建築物。
・指定する構造部位でJAS構造材を使用した建築物。
・建築主が事業成果の公表に同意した建築物。
・林野庁が作成した「建築物に利用した木材にかかる炭素貯蔵量の表示に関するガイドライ
ン」により施工者が炭素貯蔵量を算出する建築物。
基本的に民間建築物です。3階建て以下の住宅は対象外ですが、4階以上の住宅(マンション等)であれば該当します。ガイドラインに基づく炭素貯蔵量の算出は脱炭素社会の実現に向けての木造化の取り組みということで組み込まれています。ガイドラインは下記URLからお入りください。エクセルシートも用意されています。
建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン:林野庁 (maff.go.jp)
対象となるJAS構造材は次の通りです。
① 機械等級区分構造用製材(目視等級構造用製材については下記参照)
② 枠組壁工法構造用製材および枠組壁工法構造用たて継ぎ材(2×4製材)
③ 直交集成板(CLT)
④ 構造用集成材(小・中・大断面構造用集成材)
⑤ 構造用単板積層材(構造用LVL)
⑥ 構造用合板
⑦ 構造用パネル(PB、OSB、MDF等)
非構造部に使用したものであっても上記7品目はJAS構造材として扱います。
指定する構造耐力上、主要な部分(構造部)の全部または一部に、上記1つ以上のJAS構造材の品目を使用します。指定する構造部は、機械等級区分構造用製材が構造部の柱、梁桁、トラス、土台。2×4製材、CLT、構造用集成材、構造用LVLが構造部の柱、壁、床、屋根、横架材。
助成金額と金額の計算方法は次の通りです。
JAS構造材として区分された機械等級区分構造用製材および目視等級区分構造用製材(乾燥処理)、2×4製材、構造用集成材、構造用LVLは、使用材積1立方㍍あたり6万6000円が補助されます。
JAS構造材として区分されたCLTは、使用材積1立方㍍あたり14万円が補助されます。
JAS構造材として区分された構造用合板、構造用パネルは、調達費(木材代金+プレカット加工費+施工現場までの運搬費)の1/2が補助されます。
助成額は上記単価で計算しますが、①事業申請時算出額、②交付申請時算出額、③実際の調達費のうち、一番低い金額が助成対象額となります。一つの建築物で複数のJAS構造材を使用している場合は、それらを合計することができます。
助成対象階の床面積の計が1000平方㍍以上、または助成対象階が4階以上の建築物は3000万円が上限です。助成対象階が3階建て以下の場合は1000平方㍍以下が1500万円、1000平方㍍以上であれば3000万円となります。階数にはJAS構造材不使用階を除きますので、4階建てであってもJAS構造材を使用していない階があれば4階建てとはなりません。床面積についても同様で、JAS構造材不使用面積が除かれます。
事業申請の際に必要な提出物は次の通りです。
・様式第1号(JAS構造材実証支援事業申請書、様式第1号、別添、別紙1、別紙2)
・建築工事業または大工工事業の建設業許可証の写し
・建築確認申請書のコピー(受付印があること)
・申請物件の助成対象となるJAS構造材が判別可能な配置図・平面図・立面図・軸組図・梁伏せ図等
・助成金算定表(エクセルデータ)及び見積書(JAS構造材の予定使用数量、予定調達額がわかる資料)
・助成金振込先の銀行口座情報
提出された書式を事務局が申請受付し、審査を経て結果通知書が事業者に通知されます。これが届いたら事業開始となります。審査結果通知書の日付以前に発注した木材製品は助成の対象外となりますのでご注意ください。
施工中、施工後にやるべきこととして、荷受け検収写真、施工写真の撮影が必須となります。
事業者は助成対象の建て方終了後、事業が完了した日から起算して1か月以上経過した日または23年9月29日までのいずれか早い期日に交付申請書を地方木材団体に提出、交付審査を経て決定通知が出されます。事業者は全国木材組合連合会に請求書を提出し、助成金が支払われます。