ロシア、ベラルーシの森林認証を停止

【ロシア製材工場の丸太土場】

【ロシア製材工場の丸太土場】

国際的な森林認証機関であるFSCとPEFCはこのほど、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、森林認証を停止しました。
PEFCは22年3月8日、ロシアとベラルーシを起源とするすべての木材は、「紛争木材」であるため、PEFC認証製品には使用できないとの声明を出しました。占領下のウクライナの領土を起源とするすべての木材にも適用されます。PEFCは引き続き状況を監視し、必要に応じて追加の措置を検討するとしています。
21年12月31日時点で、ロシアは3197万㌶、ベラルーシは900万㌶の森林がPEFCのFM認証を受けています。これは世界全体(3億2846万㌶)の12.5%に相当します。また、PEFCのCoC認証はロシアで104、ベラルーシで110あり、これは世界全体(12671)の1.7%に相当します。
PEFCによる今回の判断は22年3月2日の国連総会決議「ウクライナに対する侵攻」に基づいており、PEFCの決定は3月2日から有効です。3月2日以前にDDSが適用され、期限後に森林から製材事業所に輸送されたロシア、ベラルーシの木材についてはPEFCの主張が可能ですが、ロシアまたはベラルーシからの木材で、この2カ国、あるいはこれらの国以外で保管されているもので、DDSが適用されていないものについては紛争木材とみなされ、認証を使用できません。

FSCは、22年3月9日、「ロシアとベラルーシからのFSC認証材と管理木材は、(ロシアの)侵略が終わるまで認めません」との声明を出しました。FSC国際理事会は、FSCのミッションと規格に対する最大限のコミットメントのため、また、これらの国におけるFSC認証の取り消しが与える潜在的な影響力を十分に分析したうえで、ロシアとベラルーシで取引を行う認証をすべて一時停止し、これらの国からの管理木材調達を禁止することを決定したと述べています。
武装勢力による暴力が続く限り、ロシアとベラルーシの木材は、世界中のどこでもFSC認証製品の製造に用いることができなくなり、FSC認証材として販売することができなくなります。今回のFSC国際理事会の決定は22年4月8日までに発効するとのことです。

22年3月初旬、欧米の環境・人権NGO数百機関が連名で、ウクライナに友好的な諸国に向けて、ロシアとベラルーシのウクライナ侵攻を強く非難し、ロシアとベラルーシで生産されるすべての木材(丸太等)、木材製品、木製家具、ペレット、紙製品などの輸入を即時禁止してほしいと要請しました。これらの木材輸出から得られる対価が、ロシアとベラルーシを利するものとなり、ウクライナの死と破壊を助長することになると主張しています。

欧州において、こうしたNGOの圧力は日本人が想像する以上の影響力があります。ロシアとベラルーシから木材を輸入する事業者、ロシア国内に投資し木材製品を製造している欧州の大手林産事業者は今後、重大な決断を迫られることでしょう。
既に天然ガス事業で、世界的なエネルギー大手がロシアと共同で進めていた事業の停止を決断していますが、欧州の総合林産業大手ストゥーラエンソ(フィンランド)も3月2日、ロシアでの木材製品(ダンボール工場3、製材工場2)の生産と販売を停止、ロシアに複数の家具等木材製品加工製造拠点を有するイケアもロシアでの製造体制の見直しを表明しています。
ロシア国内に木材製品製造拠点や合弁事業所を有する欧州林産事業所も時間の問題で同様の決断を迫られると考えられます。世論を敵に回し企業価値を毀損する恐れのあるロシアでの事業投資は全面的な見直しが始まると思います。

なお、ロシアは非友好国への制裁措置として、20220年末までいくつかの分野、品目で輸出禁止を行うとの声明を出しました。このなかには丸太、木材チップ、単板なども含まれており、既に大手LVLメーカーでは、ロシア産カラマツ単板を原材料とするE140強度の構造用LVLの生産中断を関係先に通達しました。国産カラマツで対応できるE120構造用LVLは製造が継続されるようです。

FSCの見解
FAQs on the current situation in Russia and Belarus ロシアとベラルーシの現状についてよくある質問 (fsc.org)

PEFCの見解
FAQ_20220308.pdf (sgec-pefcj.jp)

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