[ナラ 美しい木目のナラ一枚板]
広葉樹の王様、使い続け高まる木の風格
ナラ(ブナ科)を広葉樹の王様と呼ぶ人もいます。どんぐりの木です。
ナラの魅力は、その風格、優れた強度、天然木ならではの暖かい木目と色合い、使い続けることで深みを増す経年変化にあります。土足歩行も可能な硬さと耐朽性があり、住宅をはじめ、商業建築や公共施設の床材としても幅広く活用されています。
欧州や北米のホワイトオークは、ワインやウイスキーの樽として使われていることで有名です。複雑な細胞が水分を通さず、オークが持つ成分が溶け出すことでワインやウイスキーの味わいを高めるといわれます。
日本でも高級ウイスキーの樽にミズナラが用いられています。ワインの樽を再利用した無垢床材が開発されたこともありました。
[ナラフローリング]
一般的にナラと呼ばれる材料は、国産ではミズナラ、北米産ではホワイトオーク、レッドオーク、欧州産ではヨーロピアンオークです。
北海道を中心に供給されてきた国産ナラの優良材は、戦前からの過伐に伴う資源の減少と価格の高騰で、安定した供給ソースを求め、北米や欧州産オーク、ロシア産ナラなど海外からの輸入が増えてきました。
ただ、主産地の一つであるロシアは輸出規制の影響で近年、入手が難しくなっているといわれます。ロシアで丸太などの原材料を輸入し、中国で製品加工して出荷するケースも増えています。
地球温暖化の影響でしょうか。近年、世界中で森林に対する虫害問題が深刻化しています。エメラルドアッシュボーラーによる米国のホワイトアッシュ被害、マウンテンパインビートルによるカナダ西部内陸のロジポールパイン被害が有名ですが、日本でも松枯れやナラ枯れ被害が長年の問題となっています。幸いにして北海道のミズナラでの被害は報告されていませんが、本州広域にわたり、コナラ、カシなどの立木で被害が報告されています。
大切な森林の価値を毀損することなく、循環資源として活用していくことで、森林を健全なものとしていく必要があると感じます。