花粉症対策木材利用促進事業が公募を開始しました

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花粉症対策木材利用促進事業が公募を開始しました

林野庁はこのほど、「花粉症対策木材利用促進事業」を公表しました。ただし、公募期間は7月29日から8月2日までの5日間と極めて短期間です。また、今年度は1回のみの公募です。おそらく同事業は来年度以降も継続される公算が高いと思いますので、事業概要だけでも知っていただけたらと思います。公募以降の流れは下表の通りです。

同事業は昨年度まで実施されていた「建築用木材の転換促進支援事業」の後継で、木造戸建住宅の新築でのスギ製材等の利用が対象となります。助成額は1戸当たり70万円を基本としています。

スギ花粉症対策については、令和5年5月30日に花粉症に関する関係閣僚会議において「発生源対策」、「飛散対策」、「発症・曝露対策」を3本柱とする対策が取りまとめられ、今後10年を視野に入れた施策も含め、花粉症という社会問題を解決するための道筋が示されました。同年10月11日には、「花粉症対策の全体像」に基づき、初期の段階から集中的に実施すべき対応について、「花粉症対策初期集中対応パッケージ」が取りまとめられました。

この「花粉症対策の全体像」及び「花粉症対策初期集中対応パッケージ」では、発生源対策のうちスギ材の需要拡大に向けた施策の一つとして、住宅分野におけるスギ材への転換促進を掲げており、特に住宅の躯体に利用される木材において、品質・性能の確かな部材であるスギJAS構造材等の利用を図っていくこととなりました。

同事業ではスギ製品を構造材として利用する設計への変更に伴う構造安全性の検証、スギ製品の調達に係る調整、これらの取組の内容や花粉症対策としてスギ製品を利用する意義に関する建築主への説明などを行うことが重要で、中小工務店等がこのような住宅分野においてスギ製品の利用を図るための取組を行う場合に、それに必要な経費の一部を支援することを目的としています。

公募対象とする利用事業の内容は、木造戸建住宅の新築に際して実施する次の各項です。
・スギ製品を構造材として利用した設計に係る構造安全性の検証
・スギ製品の調達に係る調整
・スギ製品を利用する意義についての建築主への説明
・スギ製品の利用に伴う施工時の工夫

対象となる物件は木造の一戸建ての住宅及び住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるものです。林野庁管轄で、一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)が事業主体となっている主要な補助事業は、多くが非住宅木造建築ですが、同事業は戸建住宅を対象としています。

利用事業の対象となる事業者は下記の全ての要件を満たす事業者となります(一部割愛)。
・建設業法(昭和24年法律第100号)第3条の規定に基づき建築工事業又は大工工事業の許可を受けた者であること。
・年間の戸建住宅の供給戸数が300戸以下である者であること。
・過去3か年度内に、全木連が実施した林野庁所管事業補助金において、第15の交付決定の取消し等に相当する補助金の返還命令を受けた者でないこと。

利用事業者は、利用事業を実施し、助成金の交付申請を行う年度において、助成金の算定対象とした木造戸建住宅について、本事業以外に、国、地方公共団体、その他の公的機関が実施する事業であって、戸建住宅の建築時に木材を利用することやその利用量に基づき補助や助成を行う事業を実施し、補助を受ける場合は、本事業の助成を受けることはできません。

利用事業を実施する木造戸建住宅毎に、次の工法別の式によって計算される材積以上の
スギ製品を利用する必要があります。
・在来軸組工法の場合は木造部分の延床面積(㎡)×0.081㎥/㎡
・枠組壁工法の場合は木造部分の延床面積(㎡)×0.094㎥/㎡
・丸太組工法又はCLTを利用した工法の場合は在来軸組工法を適用します

または利用事業を実施する木造戸建住宅ごとに、柱、土台等、横架材、羽柄材及び面材として利用される木材製品の材積に対するスギ製品の材積の割合が、第8の登録を申請した日から遡って1年以内に新築した木造戸建住宅の標準的な例から10㌽以上増加していること。

助成金額は助成要件を満たす木造戸建住宅のうち建て方が完了した5戸までを算定対象とし、その戸数に70万円を乗じた金額とします。ただし、算定対象とした木造戸建住宅の木造部分の延床面積(㎡)に7,500円を乗じた金額が70万円より小さい場合、その金額と70万円との差額から1,000円未満の金額を切り上げた金額を助成金額から減額します。

同事業はスギJAS構造材等(以下スギ製品という)となっており、JAS構造用製材が前提にっていると考えられます。スギ製品とはスギ材が全部または一部に利用された木材製品であって、柱、土台等、横架材、羽柄材または面材に利用されるものとしています。

上記した「スギ製品を構造材として利用した設計に係る構造安全性の検証」については交付申請時に下記のいずれかを選び提出する必要があります。
・許容応力度計算の計算結果
・「新しい壁量等の基準(案)に対応した表計算ツール(案)」の計算結果での検証
・木材関係団体等が作成した「スギのスパン表」の断面寸法の確認の結果
・柱、架構 検討を行ったプレカット工場の「プレカット承認依頼書」
・木造の横架材梁せいスパンの計算結果(一定の条件を入力し、スパン計算を行う、計算ソフト等)
・上記と同等のもののいずれかの写し

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