神奈川県が森林環境譲与税活用で補助事業を開始
神奈川県は木造施設の環境負荷の低さや、木材の持つ炭素固定機能を広く県民に周知すると共に、森林環境譲与税に対する理解や脱炭素社会の実現を目指し、建築主が木造施設等を選択し建築を行うことで抑制される炭素排出量や固定される炭素量の価値に対して補助を行います。
平成30年度税制改正の大綱で、森林環境税及び森林環境譲与税の創設が決まりました。森林環境譲与税は平成31年度から、森林環境税を財源として、全国の自治体へ譲与が開始されました。森林環境税は、国民の皆様一人一人に森林を支えてもらい、次世代に豊かな森林を引き継いでいくための仕組みで、国民からの徴税である森林環境税と、これを森林の整備等に使う森林環境譲与税という二つの税から構成されます。
森林環境譲与税の使いみちは、間伐や路網といった森林整備、森林整備を促進するための人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発に分かれ、国、都道府県を通じ、全国の市区町村に配分されます。
大都市部の市区町村のなかには、森林面積が少なく、林業比率が小さいことから、森林環境譲与税の使いみちに悩まれているところも少なくないと聞きます。しかし、森林環譲与税の目的の一つは、「木材利用促進・普及啓発」にもあり、大都市部の市区町村が積極的に木材を使用することで木材需要の拡大に貢献し、森林整備を加速させることにつながります。
今回、神奈川県でもこの森林環境譲与税配分を原資に当該補助事業を行うことになりました。既に全国各地、特に森林地域では森林環境譲与税を活用した森林整備、国産材を活用した学校等の施設整備が進められています。
神奈川県の「まちのもり創出事業」は対象者として木造施設を整備する建築主(建築請負事業者による代理申請も可)とし、建築主は神奈川県産材を3立方㍍以上使用することが求められます。
補助事業は2つあり、「炭素排出抑制効果」では定額で延床面積平方㍍あたり2000円(後述する施設の木質化には適用しません)、「炭素固定効果」では使用木材材積立方㍍あたり4000円、神奈川県産材使用の場合は同8000円が補助されます。
補助上限は、一戸建て住宅以外の木造建築物で1000万円(下限は100万円)、一戸建て住宅で50万円(下限は10万円)、施設の木質化(一戸建て住宅を除く)で200万円(下限は10万円)。一戸建て住宅とそれ以外で上限額が大きく異なります。考え方を変えると集合住宅は一戸建て住宅ではないので上限1000万円に該当するとみられます。
例えば木造一戸建て住宅で延床面積90平方㍍、木材使用量17立方㍍、このうち神奈川県産材13立方㍍の場合、延床面積90平方㍍×2000円(炭素排出抑制効果)+4立方㍍(県産材以外)×4000円+13立方㍍(県産材)×8000円で合計30万円になります。
また、一戸建て住宅ではない木造施設建設で延床面積が300平方㍍、木材使用量50立方㍍(うち県産材30立方㍍)の場合、300×2000円+20×4000円+30×8000円で92万円が補助される計算です。
一戸建て住宅の補助額は小さいですが、住宅ローン「フラット35」(住宅金融支援機構)における「地域連携型(地域活性型)メニューも活用することができます。
同事業の申請は23年7月3日から開始されています。締め切り期限はありませんが、先着順で予算に達した段階で締め切りとなります。詳細は下記URLから。
Microsoft Word – 00【改正案】まちのもり交付要綱 (pref.kanagawa.jp)