林野庁の新年度川下向け補助事業大枠が決まりました

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林野庁の新年度川下向け補助事業大枠が決まりました

令和4年度補正予算(第2号)を財源とする林野庁による令和5年度事業の民間団体向け補助事業補助金交付候補者が決定しました。補助金交付候補者とは各事業の実施主体を指します。2022年11月18日から12月5日で実施した「令和4年度補正予算にかかる民間団体を対象とする林野庁補助事業の事業者の公募(第6回)に基づき林野庁が審査し、下記のように補助金交付候補者を決定しました。下記14事業はこれから事業実施主体により、具体的な補助事業の要綱等が検討され、募集が行われます。

同事業は「国内森林資源活用・木材産業国際競争力強化対策(一部公共)に含まれており、事業予算規模は公共を含め全体で498億9100万円です。

同事業は木材製品の国際競争力強化や輸出目標達成に向けた木材産業の体質強化、原木の生産基盤整備、木材製品等の輸出・消費拡大や、海外情勢の影響を受けにくい需給構造構築に向けた国産材供給力の強化、国産の製品等への転換、木質バイオマス利用促進、きのこの生産資材高騰対策等を支援します。輸入木材から国産材への転換を明確に打ち出しており、国産材への転換を促すことで、国産材需要の拡大を目指す施策です。

具体的な事業目標は、①国産材供給・利用量を令和3年度の3400万立方㍍から令和12年度までに4200万立方㍍に高めること、②建築用材等の国産材利用率を令和3年度の48%から令和12年度までに63%に引き上げることとしています。

対象となる民間団体向け補助事業補助金交付者候補(カッコ内)は以下の通りです。

国内森林資源活用・木材産業国際競争力強化対策では

①林業機械の自動化・遠隔操作化に向けた開発・実証事業
(一般社団法人林業機械化協会)
②輸出先国の規格・基準等に対応した性能検証等支援事業
(一般社団法人日本木材輸出振興協会)
③日本産木材製品の輸出拡大支援事業
(株式会社ぐるなび)
④特用林産物の販売促進活動支援事業
(日本特用林産振興会)
⑤きのこの知的財産保護対策事業
(株式会社 GENODAS)
⑥外構部等の木質化支援事業
(全国木材協同組合連合会、公益財団法人日本住宅・木材技術センター)
⑦JAS構造材実証支援事業
(一般社団法人全国木材組合連合会)
⑧CLT建築実証支援事業
(木構造振興株式会社、公益財団法人日本住宅・木材技術センター)
⑨CLT等木質建築部材技術開発・普及事業
(木構造振興株式会社)
⑩建築用木材の転換促進支援事業
(一般社団法人全国木材組合連合会)
⑪木材流通における転換促進支援事業
(一般社団法人全国木材組合連合会)

林業従事者等確保緊急支援事業では

⑫林業労働安全確保対策
(株式会社森林環境リアライズ)
⑬林業経営体強化対策
(全国森林組合連合会)
⑭林業における外国人受入れ
(一般社団法人林業技能向上センター)

国産材需要拡大を踏まえた木材製品の消費拡大対策では、非住宅分野等における消費拡大を推進し、木材製品の国際競争力を高めるため、CLTを活用した建築物の実証、木質建築部材の技術開発、JAS構造材の利用実証や外構部等木質化の実証等を支援します。
既に数年度にわたり実施されている事業で、上記の⑥外構部等の木質化支援事業、⑦JAS構造材実証支援事業、⑧CLT建築実証支援事業、⑨CLT等木質建築部材技術開発・普及事業が該当し令和5年度も実施されます。

また、国内森林資源活用・建築用木材供給力強化対策では、国産の製品の供給体制強化に向けた木材加工流通施設等の整備、原木供給力の強化に向けた高性能林業機械等の導入、住宅分野における建築用木材の国産の製品等への転換、燃油や資材の価格高騰や供給難への対応として木質バイオマスエネルギーへの転換、きのこ生産者に対する省エネ機器等の導入支援や次期生産に必要な生産資材の導入費の一部支援による体質強化を支援します。

具体的には、建築用木材供給力強化対策(木材人工乾燥施設の能力向上、既存設備の機能向上、ストック機能の強化等、高性能林業機械等の導入)、建築用木材転換対策(上記の⑩建築用木材の転換促進支援事業、⑪木材流通における転換促進支援事業が該当します)、燃油・資材と森林由来資源への転換対策等(木質バイオマスエネルギー転換促進対策、特用林産生産資源高騰対策)です。

設計、ビルダー、工務店、木材流通関係者にとって最も興味があるのは、⑥外構部等の木質化支援事業、⑦JAS構造材実証支援事業、⑧CLT建築実証支援事業、⑨CLT等木質建築部材技術開発・普及事業だと思います。
特に全国木材組合連合会が実施主体となる⑥外構部等の木質化支援事業(外構実証型事業)、⑦JAS構造材実証支援事業は、取り組みやすさから毎年応募が多い事業として知られます。
⑥の外構部等の木質化支援事業については日本住宅・木材技術センターが主体となって実施される企画提案型実証事業もあります。
具体的な要綱の公表及び募集は新年度からとなりますが、令和5年度も事業内容に大きな変更はないと思われます。既に令和4年度事業は終了していますが、同度の各事業概要は下記の通りです。

外構部等の木質化支援事業(全国木材組合連合会)
PowerPoint Presentation (kinohei.jp)
外構部等の木質化支援事業(日本住宅・木材技術センター)
https://www.howtec.or.jp/files/libs/4143/202205091138285375.pdf
JAS構造材実証支援事業(全国木材組合連合会)
スライド 1 (jas-kouzouzai.jp)

CLTについてはJAS構造材実証支援事業でも補助対象となっており、木構造振興株式会社、公益財団法人日本住宅・木材技術センターが実施主体となっている⑧CLT建築実証支援事業、⑨CLT等木質建築部材技術開発・普及事業と合わせ、複数の補助事業が実施されます。

これらの木材需要拡大補助事業の活用に関する情報提供、具体的な補助事業申請に関するお手伝いなどが可能です。実際の募集開始は新年度以降となりますが、早めの準備が必要になります。お問い合わせをお待ち申し上げます。

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