木質ペレット燃料のJASを創設
農林水産省は2023年6月15日、「木質ペレット燃料に係る日本農林規格」(JAS)を制定しました。木質ペレット燃料は再生エネルギーの一つとして、木質バイオマスボイラー燃料として用いられるほか、ペレットストーブやペレットを熱源としたサウナでも様々に使用されています。需要の増加に伴い、国産木質ペレット燃料の利用拡大を目指す民間団体からJAS制定の提案があり、これを踏まえて品質規格の内容を検討してきました。
木質ペレット燃料とは、森林、植林地及びその他未利用の木材・端材由来の乾燥されたオガ粉を円筒状で小粒に圧縮成型した木質燃料です。従来は業界団体(一社)日本木質ペレット協会が品質基準を策定し、独自で認証が行われていました。
国内での製造量は2019年度が14万7000㌧と10年間で製造量が約3倍に増加していますが、世界的に生産量が増加傾向にあり、2018年の生産量は3,500万㌧(FAO集計)、日本とは比較にならないほど産業規模が拡大しています。
国内での木質ペレット燃料製造も大幅に増加していますが、木質ペレット燃料の輸入量もこれを上回るペースで年々増加しており、19年の輸入規模は161万㌧となりました。国内製造が14万7000㌧だったことから自給率は8.4%にとどまっています。
集計当初の2012年自給率は60%近くありましたが、FIT制度に基づく木質バイオマス発電燃料として輸入木質ペレット需要が増加したことで自給率は急落していきました。海外の日本向け主産地はベトナム(19年輸入数量88万7000㌧、輸入に占める比率55%)、カナダ(同59万㌧、37%)で、この2か国が大半を占めています。世界の総製造量は3500万㌧規模になっています。
世界の木質ペレット製造上位国(2018年、FAO)は米国747万㌧、カナダ305万㌧、ベトナム250万㌧、ドイツ242万㌧、ロシア180万㌧、スェーデン174万㌧、ラトビア153万㌧、フランス145万㌧、オーストリア135万㌧ポーランド100万㌧となっています。再生エネルギー活用に力を入れる欧米の取り組みが盛んですが、アジアではベトナムが突出しています。木質ペレット燃料の原料は未利用木材もありますが、大半は製材加工の際に発生する端材、オガ粉(製材、プレナー屑など)ですから、製材加工が盛んな産地で精力的に製造されています。
木質ペレット燃料に関する国際規格はEN規格(EU地域規格)をベースに、ISO(ISO17225-2:2014)が策定されています。北米では、業界団体が策定した民間規格による認証が行われているとのことです。日本でも独自の品質基準が設けられ、認証等を行ってきたところです。
今回のJAS創設は国産木質ペレット燃料の品質改善、生産の合理化、取引の円滑化等を促進すること、品質規格を満たす木質ペレットの供給により、利用者の安心度を高め、木質ペレット燃焼機器とのマッチングの不具合によるトラブルを減らすことで、ストーブ、ボイラー等による熱利用(暖房、給湯等)の普及に寄与することなどがあります。
具体的には住宅用及び業務用の木質ペレット燃料の品質による分類及び仕様について規定し、原料の起源及び由来により、A1、A2及びBの等級を規定されています。