日本マクドナルド(東京都)は2023年2月、農林水産省/林野庁との間で、
「建築物木材利用促進協定」を締結しました(写真、林野庁から)。
日本マクドナルドが建築物木材利用促進協定締を結
政府は建築物等への木材利用の拡大を図ることで国際公約でもある2050年カーボンニュートラルの実現に貢献すること等を目的に、2021年6月、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(都市(まち)の木造化推進法)」に変更され、同年10月に施行されました。
これに伴い、建築物における木材利用の促進に関する構想を実現するため、建築主や建築物に関係する事業者及び事業者団体が、国または地方公共団体と協定を締結できる「建築物木材利用促進協定」制度が創設されました。農林水産省が中心となりますが、国土交通省、経済産業省、環境省を含めた協定締結もあり、省庁横断で建築物への木材利用促進に取り組んでいます。
これまでに10件が協定を締結しています。協定は建築・建設関係の業界団体が多いですが、企業として協定を締結するケースも増えてきました。
公益社団法人日本建築士会連合会×国土交通省(木造建築物の設計・施工に係る人材育成等に関する建築物木材利用促進協定)
一般社団法人全国木材組合連合会×農林水産省(木材利用拡大に向けた環境整備に関する建築物木材利用促進協定)
全国建設労働組合総連合×農林水産省×国土交通省(大工技能者の育成と地域工務店等による木材利用に関する建築物木材利用促進協定)
野村不動産ホールディングス株式会社とウイング株式会社×農林水産省(地域材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定)
株式会社アクト×農林水産省(国産材の利用拡大に関する建築物木材利用促進協定)
一般社団法人JBN・全国工務店協会×農林水産省×国土交通省(建築大工等人材育成と地域工務店等による国産材利用に関する建築物木材利用促進協定)
一般社団法人日本木造耐火建築協会×農林水産省×国土交通省(高層・大規模耐火木造建築の普及に関する建築物木材利用促進協定)
株式会社竹中工務店×農林水産省(中高層木造建築物等の推進による木材利用拡大に関する建築物木材利用促進協定)
大林グループ×農林水産省×経済産業省×環境省(中高層・木質化建築等の促進を通じた、森林共生都市の実現及び循環型森林利用の推進に資する、建築物木材利用促進協定)
日本マクドナルド株式会社×農林水産省(マクドナルド店舗における地域材利用促進に向けた建築物木材利用促進協定)
日本マクドナルドと農林水産省の協定(マクドナルド店舗における地域材利用促進に向けた建築物木材利用促進協定)は23年2月10日から26年3月末まで。対象区域は全国。
日本マクドナルドは、今後建設予定の建築物において、一店舗当たり一定量以上の地域材を利用する設計を基本とし、3年間で計5,550立方㍍の地域材を利用することを目指すことや、木材利用の意義やメリットについて、シンポジウムや動画等で積極的に情報発信する等を内容とする協定を締結しました。
また店舗建設の際、クリーンウッド法に基づく登録木材関連事業者により合法性確認された木材を利用することも盛り込まれています。
同社は以前から林野庁が推進する国産木材の積極的活用に向けたネットワーク「ウッド・チェンジ・ネットワーク」に賛同し、新規出店、改装、建て替えをする同社店舗で国産木材を外装や構造材等に活用しており、本協定締結を契機に、さらに国産木材を活用していくと述べています。
「ウッド・チェンジ」は省庁横断の政府組織である木材利用促進本部(本部長は農林水産大臣)が推進するための合言葉のようなもので、農林水産省、総務省、文部科学省、経済産業省、環境省が参画しています。今後、「建築物木材利用促進協定」を締結する団体、企業は増えてくると思います。まだ金融機関が参画していませんが、これも注目です。SDGsの時代が到来し、ESG投資評価の面でも木材活用は重要性が増していると思います。
【林野庁 ウッド・チェンジのポスター】