新設住宅需要依存からの脱皮を

1月末、国土交通省から2020年の新設住宅着工動向が発表されました。合計戸数は82万戸弱まで落ち込み、持家戸数、貸家戸数、合計床面積、木造戸数などの各指標も前年比10%前後の減少となりました。下記に20年の新設住宅着工概況及び都道府県別の新設在来木造住宅・2×4工法住宅の詳報(11年間の年間計、月次計・利用形態別計など、集計作成はインテレクツ様)を添付しました。

2020年新設住宅着工動向.pdf
住宅着工 県別在来.pdf
住宅着工 県別2×4.pdf

新型コロナ感染症の拡大で住宅取得意欲が後退したこともありますが、かねて指摘されている通り、少子高齢化、空き家率の上昇で、住宅需給自体が緩和しており、住宅新築マインドは伸び悩むと考えられます。また、新型コロナ感染症問題で景気低迷が長期化しており、収入の減少も住宅取得需要に影響してくると予想されます。

昨年6月、野村総合研究所は「2040年の住宅市場と課題~長期的展望と新型コロナウイルスによる短期的影響の分析~」と題するレポートを発表しました。新型コロナ感染症問題が及ぼす影響は当時と比べ一段と厳しくなっており、今後はそうした影響を加味する必要も出てきそうです。

同レポートによると2030年度の新設住宅着工戸数は63万戸、2040年度には41万戸まで減少すると予測しています。新設住宅着工戸数に占める持家比率を20年並みの32%とした場合40年度は13万戸強、貸家比率を同38%とした場合15万5000戸前後ということになります。ただ、貸家については、需給飽和状態に近いとみられること、また貸家大手による耐震偽装問題が貸家市場全体に影響することも予想されます。

野村総合研究所
「2040年の住宅市場と課題
~長期的展望と新型コロナウイルスによる短期的影響の分析~」

新設住宅着工に占める木造比率を20年並みの58%とした場合40年度は24万戸弱となります。ただ、新設住宅に占める木造比率は平成20年以前、40%台に落ち込んでいたものが50%台に上昇し現在60%近くまで来ていることから、新設住宅市場における木造住宅比率は今後とも相対的に高い水準を維持すると予想されます。

新設住宅に占める在来木造(軸組住宅等)比率は、20年並みの45%とした場合20万戸弱。1棟当たり20立方㍍の木材製品(合板等を除く)を消費するとして、木材需要規模は400万立方㍍で足りることになります。

野村総研の悲観的予測への反論材料をかき集めたいところですが、木造住宅建築の担い手である地場のビルダー、工務店が厳しい需要環境に直面することは間違いなく、木材業界もまた需要収縮の影響を大きく受けることになります。

地域のビルダー、工務店は長年、木造住宅需要に依存して来ましたが、こうした考え方を見直す時期に来ています。国の施策でもありますが、非住宅木造建築物、また、建築物の木質内装化を新たな需要分野として取り組んでいく必要があると思います。新しい木質構造材、木造工法や施工技術も開発され、これを取り入れて非住宅木造建築に取り組むビルダー、工務店も増えてきました。

RC造、S造を木造に置き換えることです。木造建築や内外装木質化された建物は長期にわたり木質部材内部に炭素を固定し、地球温暖化抑止に貢献します。非住宅木造建築を目指すビルダー、工務店、建築設計の皆様とともに、こうした考え方をさらにブラッシュアップさせ、新たな需要を獲得していきたいと考えます。ご相談、お問い合わせ等をお待ち申し上げます。

【大阪仲買会館 1時間の耐火性能をもち4階建ての木造建築も可能な「燃エンウッド(モエンウッド)」を採用しています】

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