市場令和6年度JAS構造材実証支援事業の募集開始
一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)はこのほど、「令和6年度JAS構造材実証支援事業」を公表しました。同事業は林野庁の木材利用促進に向けた川下事業の目玉となるもので、今年度で6年目を迎えます。今年度の募集は6月17日から6月21日までの5日間となります。2次募集についての記載は今のところありません。補助事業概要は大きくは変更されていませんが、新たにJAS認証の保存処理木材が加わっています。また、対象事業者要件として、新たに木材SCM支援システム「もくりんく」の登録者が追加されています。このほか、助成対象建築物の考え方が一部変更されています。詳細は下記URLからご確認ください。
https://www.jas-kouzouzai.jp/_files/jigyou2/R6_JASsetsumei.pdf
JAS構造材の助成金額は、「機械等級製材」、「目視等級製材(乾燥処理)」、「2×4製材」、「構造用集成材」、「構造用LVL」、「保存処理材」が立方㍍当たり6万円(前年度6万6000円)。「CLT」が立方㍍13万円(前年度14万円)、「構造用合板」、「構造用パネル(OSB等)」は調達費(木材代+プレカット加工費+施工現場までの運賃)の1/2となります。
補助上限は申請1件当たり1500万円で、延床面積が3000平方㍍を超える場合は3000万円です。前年度は助成対象階の床面積の計が1000平方㍍以上、または助成対象階が4階以上の建築物は3000万円が上限、助成対象階が3階建て以下の場合は1000平方㍍以下が1500万円、1000平方㍍以上であれば3000万円でした。今年度は延床面積で補助上限を二通りとしました。
CLTを構造部位に50立方㍍使用した場合、CLT調達費用を立方㍍あたり15万円としたとき750万円 のCLT調達費用を必要としますが、立方㍍あたり13万円が補助されることから、CLTの補助額合計は650万円で、補助額を差し引いた費用は100万円となります。
杉KD構造材を構造部位に50立方㍍使用した場合、杉KD構造材調達費用を立方㍍あたり15万円としたとき750万円を必要としますが、立方㍍あたり6万円が補助されることから、杉KD構造材の補助額は300万円で、補助金を差し引いた費用は450万円となります。
JAS構造材活用宣言事業について
同事業の活用を検討される事業者は事前にJAS構造材活用宣言事業に基づいて、「活用宣言」への登録が必要となります。活用宣言への登録は下記のURLに書式がありますので参照してください。これまでの活用宣言と少し仕組みが変わっています。
活用宣言への登録期間は令和6年4月10日から令和7年3月21日まで。活用宣言で登録された施工者等が実証支援事業に申請することができます。
活用宣言の対象者は、木造建築物の施工関係者(施主、設計者、施工者、木材関連事業者)ですが、実際に施工に携わる関係者の登録が良いと思います。大きな変更点は、JAS構造材実証支援事業の申請には、実証支援事業申請年度を初年度とする宣言事業の3カ年目標について各年の目標が必須となりました。この3カ年目標は、例えば初年度にJAS構造材を使用した建築物を3件、2年目には4件、3年目には5件といった数値目標が求められます。
JAS構造材活用宣言要綱と申請書式
2024JASsengenyouryo.pdf (jas-kouzouzai.jp)
活用宣言審査後、登録された事業者は自社ホームページ等でPRする必要があります。
JAS構造材実証支援事業について
対象事業者
対象事業者は建築工事業または大工工事業の建設業の許可を受けた「法人格を有する事業者」で、前記したJAS活用宣言事業者であること、木材SCM支援システム「もくりんく」の登録者など8つの条件をすべて満たした施工者となります。条件の中には、過去3カ年度内に全木連が実施した林野庁所管補助事金において補助金の返還命令を受けた場合は対象事業者になれません。この項目も追加となりました。
対象物件
・建築確認申請書または建築工事届の建築主が国に該当せず、建築物の用途が本事業の規定に沿う建築物。
・3階建て以下の居住専用住宅、事業併用住宅を除く建築物。
・建築物において基礎より上部の躯体部分の建築工事に本事業以外の国、地方公共団体、公的機関からの補助を受けていない建築物。ただし、国の資金が含まれない地方公共団体の財源による単独事業の助成は併用できます。
・助成対象の床面積(4階建て未満の建築物の非木造部分を除く)が10平方㍍を超える建築物。
・指定する構造部位でJAS構造材を使用した建築物。
・建築主が事業成果の公表に同意した建築物。
・林野庁が作成した「建築物に利用した木材にかかる炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」により施工者が炭素貯蔵量を算出する建築物。
住宅用とでJAS構造材実証支援事業が活用できるのは、一戸建て住宅は4階以上、長屋・共同住宅・寄宿舎・下宿は4階建て以上であれば複数申請が可能ですが、3階建ての場合は1件のみ、2階建て・平屋建ては延床面積500平方㍍を超える場合のみ1件申請することができます。助成対象建築物は下記の通り。
R6_youtokubun.pdf (jas-kouzouzai.jp)
助成金の二重取りはできません。地方公共団体や林野庁以外の省庁の補助金を使うことはできないので、どの助成事業が最も貢献できるかを判断して申請する必要があります。
ガイドラインに基づく炭素貯蔵量の算出は脱炭素社会の実現に向けての木造化の取り組みということで組み込まれています。ガイドラインは下記URLからお入りください。エクセルシートも用意されています。
建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン:林野庁 (maff.go.jp)
対象となるJAS構造材
①機械等級区分構造用製材
②枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材(2×4製材)
③直交集成板(CLT)
④構造用集成材(小・中・大断面構造用集成材)
⑤構造用単板積層材(構造用LVL)
⑥構造用合板
⑦構造用パネル(PB、OSB、MDF等)
⑧保存処理材
目視等級構造用製材(乾燥処理)については、機械等級区分構造用製材と併用する場合にJAS構造材として扱い、目視等級構造用製材(乾燥材)を単独でJAS構造材とすることはできません。非構造部に使用したものであっても上記8品目はJAS構造材として扱います。
指定する構造耐力上、主要な部分(構造部)の全部または一部に、上記1つ以上のJAS構造材の品目を使用します。指定する構造部は、機械等級区分構造用製材が構造部の柱、梁桁、トラス、土台。2×4製材、CLT、構造用集成材、構造用LVLが構造部の柱、壁、床、屋根、横架材。
提出された書式を事務局が申請受付し、審査を経て結果通知書が事業者に通知されます。これが届いたら事業開始となります。審査結果通知書の日付以前に発注した木材製品は助成の対象外となりますのでご注意ください。