[中国で加工されたベイヒバ集成フリー板]
湿気やシロアリに強く、耐不朽性も抜群
2018年10月、301年ぶりに再建された興福寺中金堂の落慶式が執り行われました。この中金堂の屋根周りの木材にベイヒバが採用されました。
当初、桧も検討されたようですが、桔木(はねぎ)をはじめ、中金堂屋根周り部材は一つ一つの寸法が大変大きく、桧大径木での調達は価格面も含め困難ということで、ベイヒバに決定したそうです。
当時、JVで中金堂に使用される木材を調達した会社は、工事開始の10年前から材料手当を行い、専用の湿度管理できる倉庫で丁寧にベイヒバを養生乾燥させていったそうです。
ベイヒバの特徴は、針葉樹の中で、最も湿気やシロアリに強く、耐不朽性能も高いことです。このため、外部環境にさらされる木造住宅の土台には、桧代替としてベイヒバが多く使用されてきました。
耐水性能に優れ、北米ではプール用材としても使用されるほどで、日本でもベイヒバによる木槽がよく知られています。セドロール(強い防虫効果)、ヒノキチオール(抗菌作用・細胞活発化作用)、カルバクロール(神経作用)といった成分を多く含み、消毒薬のような独特の臭いも特徴です。
[木製鳥居で桧の代わりにベイヒバ大径木を用いることも多い]
ベイヒバの主な生息地はアラスカ南部からカリフォルニア周辺までの地域です。天然更新ですが、天然林は非常に大きく成長することから、社寺や鳥居といった大径木需要に適しています。
また、土台などの建築物構造材、内装材、建具材、外構材など幅広い用途に使われています。木肌が柔らかいので加工に適しています。現在、焼失した沖縄の首里城再建が動き出していますが、おそらくベイヒバを含めた桧系樹種が採用されるのではないでしょうか。