北米の木材 スプルース

[アラスカ産スプルース丸太]

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大径木で建具需要下支え、楽器用も人気

スプルース(マツ科トウヒ属)にはいくつかの種類があります。障子をはじめとした建具材料として多く使われてきたのがシトカスプルースです。アラスカ州のシトカ地域を主な産地とするもので、アラスカからカナダのブリティッシュコロンビア州沿岸に多く生育し、北米における大径木の代表格です。

一方、北米の内陸地域で生育するホワイトスプルース、エンゲルマンスプルースなどはSPF(スプルース・パイン・ファー)と総称されることが多く、クリア材から造作材なども取りますが、大半は2×4住宅構造用材として使用されます
欧州ではマツ科トウヒ属のスプルースをホワイトウッドと呼ぶこともあります。ロシアのエゾマツもマツ科トウヒ属で、北半球の同等の緯度でトウヒ属が多く生育していることがわかります。

シトカスプルースの特徴は、白木で木理が通直なことから、柾で寸法の大きな材がとれること、材が軽軟で弾力性があること、肌目が緻密で加工性に優れ、きれいな仕上げとなることなどです。マツ科特有のヤニがほとんどありません。和室の障子をはじめ、様々な建具の原材料としてシトカスプルースが重用されました。

また、楽器用材としても有名で、アコースティックギター、ピアノなどは、シトカスプルースの中でも、緻密な木目で柾無地の最高級グレードが使われます。白木で臭いがほとんどないことから、まな板や木桶、食品箱、かまぼこ板などにもシトカスプルースが用いられます。

[2×4工法用となるSPFディメンションランバー]

日本市場への輸入

かつてはブリティッシュコロンビア州沿岸産地が日本市場への供給主体で、日本人が現地で木取りを指示して製材するカスタムカット方式で、大量のシトカスプルース半製品が輸入されてきました。しかし、環境保全意識の高まりから、良材産地であったクィーンシャーロット島での伐採が停止するなど厳しい原材料供給状況となっており、現在は主にアラスカ産地から丸太で輸入し、北海道、名古屋、岸和田などに入荷しています。製材工場では柾平半製品を主力に製材しています。

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