住宅の省エネ支援強化で大型事業予算
国土交通省は省エネ住宅の新築、住宅の省エネリフォームを支援する新事業について、経済産業省、環境省の3省連携で実施します。22年11月8日、住宅の省エネに向けた支援強化の予算案が閣議決定されました。建築物の省エネ対策については、省エネ関係法制度の改正、大型支援事業の創設など活発な取り組みが見られます。また、東京都では建築物省エネ対策事業が強化されており、建築物屋根を活用した太陽光パネル設置義務化といった従来にない考え方も示されています。
https://kubodera-zousaku.com/g-84/ 建築物の断熱等性能等級改正と省エネ基準適合義務化~建築物の断熱性能が大きく変わります~
https://kubodera-zousaku.com/g-100/ 東京都が住宅等への太陽光パネル設置義務化
こうした取り組みの背景は、第一に政府が国際公約した2050年度カーボンニュートラル実現を踏まえたものです。同時に急激な円安ドル高と原油等の原材料高を背景とした電力コストの大幅上昇という目下の課題への対策でもあります。
22年10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定され、家庭における省エネ投資を規制・支援一体型で促進し、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入などの住宅の省エネ化への支援の強化を行うことが決まりました(下記URL)。そして同日閣議決定された令和4年度補正予算案には住宅の省エネ化への支援を強化するための新たな補助制度が盛り込まれました。
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001119.html
事業概要は大きく分けると2つになります。
一つは「こどもエコすまい支援事業」。事業規模は令和4年度補正予算額 1500億円となっています。同省は今年度「こどもみらい住宅支援事業」(令和3年度補正予算額540億円)を実施しましたが、「こどもエコすまい支援事業」(下記詳細URL)はそれを大幅に上回る事業規模となります。
https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/building_insulation/window.html(こどもエコすまい支援事業)
https://kubodera-zousaku.com/g-71/(参考:こどもみらい住宅支援事業)
こどもエコ住まい支援事業は新築、リフォームに分かれ、新築は子育て世帯、若者夫婦世帯を対象とし、住宅を新築する際、1戸当たり100万円の補助金が交付されます。対象住宅はZEH住宅です。
また住宅のリフォームは開口部・躯体等の省エネ改修工事を対象とし、1戸当たり上限30万円の補助金が交付されます。すべての世帯が対象となります。住宅リフォームではその他のリフォーム工事も盛り込んでおり、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等を行う際に1戸当たり上限30万円の補助金が交付されます。
もう一つは国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して省エネリフォーム支援を行うものです。上記したこどもエコ住まい支援事業のリフォーム工事支援事業もこの一環となります。省エネ改修では、①高断熱窓等の設置、②高効率給湯器の設置、③開口部・躯体等の省エネ改修工事の3つとなっており、③については上記したようにこどもエコ住まい支援事業の予算を原資にして実施されます。
高断熱窓等の設置(①)は、住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業といい、経済産業省、環境省が事業主体となり令和4年度補正予算額1000億円を計画しています。
高断熱窓(Uw1.9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準を超えるもの等、一定の基準を満たすもの)への断熱改修工事に対して支援します。工事内容に応じて定額補助され、補助率は1/2相当等。1戸当たり最大200万円が交付されます(下記詳細URL)。
https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/building_insulation/window.html
高効率給湯器の設置(②)は、高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金といい、経済産業省が事業主体となり、令和4年度補正予算額300億円を計画しています。一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合に支援されます。
各種支援事業への申請は住宅を整備・分譲する事業者またはリフォーム工事を行う事業が行い、補助金は住宅所有者や高効率給湯器の導入者が最終的に受け取ります。
令和4年11月8日以降に契約(新築もしくはリフォーム工事に係る請負契約、新築分譲住宅に係る売買契約または高効率給湯器の売買契約の締結等)を行い、申請する事業者が所定の手続きにより事務局の登録を受けた後、着工したものが対象となります。事務局は今後、事業ごとに国が選定していきます。