20年12月21日、小泉環境大臣は、二酸化炭素に価格をつけ、排出量に応じてコストを負担してもらう「カーボンプライシング」(CP)について、経済産業省と連携して議論するよう菅総理大臣から指示を受けたことを明らかにしました。同日、経団連も「拒否するところから出発すべきではない」との考えを表明しました。地球温暖化対策に向け、今後、産業界、一般家庭をも巻き込んだ大きな動きとなるかもしれません。
「カーボンプライシング」は排出される二酸化炭素に価格をつけ、排出量に応じたコストを負担してもらうもので、具体的な制度としては「炭素税」や「排出量取引制度」などがあります。「炭素税」は温室効果ガスの排出量に応じて課税するもので、「排出量取引制度」は、企業が排出できる二酸化炭素の量に上限を設け、過不足分を別の企業と売り買いできる仕組みです。これまで排出量が多い業界を中心に、産業界からはカーボンプライシングに慎重な声が根強く、本格的な導入には至っていませんでした。
環境省関連ホームページ https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cp/index.html
地球温暖化対策を進めるための制度のあり方を検討してきた環境省の有識者会議は、2050年までに脱炭素社会を実現するという政府の目標を法律に盛り込むことを検討するべきなどとする報告書案を公表し、脱炭素社会の実現に向けては、地域での再生可能エネルギーの導入が重要だとして、都道府県などが策定する温暖化対策の実行計画で導入目標を設定することを求めているほか、環境保全や地域社会への貢献などに配慮している事業については自治体が個別に認定し、必要な許認可の手続きを簡素化するといった優遇措置も必要だと提言しています。
建築分野においても、将来的な炭素税導入によるコスト変化を木造、非木造でシミュレーション研究する取り組みが出てきました。コスト変化だけを考えるのではなく、地球温暖化対策においてなぜ、木造が有益であるのか、総合的に考えていくことが重要ではないかと思います。