林野庁「木材輸入の状況について」

林野庁の木材貿易対策室はこのほど、「木材輸入の状況について」と題した報告書を公表しました。米国、欧州、中国の各市場の現況、北米産材、欧州産材の入荷動向などを解説しています。我が国の木材貿易史上、経験したことのない価格高騰が、流通だけでなく、建築現場にも様々な混乱をもたらしており、国も何らかの説明をする必要に迫られたということでしょう。
見積価格を大幅に上回る調達コストの問題もですが、既に原材料不足に伴うプレカット工場の受注削減を原因とした着工遅れの問題が深刻化しています。日本総研では、今回の木材価格高騰の影響として、21年度上半期の新設住宅着工戸数が6万戸下振れすると予測しています。ただ、住宅大手各社の21年5度受注速報(住宅新報から)は前年同月比で一様に大幅増となっています。20年5月が極めて厳しい状況だったためですが、受注速報通りだとすると、木材製品価格への影響が拡大する可能性もあります。

また、ジャパン建材様の21年7~9月期需要動向予測調査では、在庫確保、樹種変更、工期延長などの対策が示されています。一般紙やテレビでもこの問題が取り上げられるようになっているようです。

木材貿易対策室の報告書によると、米国における木材価格の高騰原因は、米国新設住宅着工戸数の増加としています。21年3月が季節調整済み年率で173万戸、4月が157万戸となっており、コロナ禍による在宅需要の増加と住宅ローン金利の下降も住宅需要を刺激しているとの指摘です。また、海外市場への輸出は、コロナ禍に伴う米国の港湾処理能力低下、コンテナカーゴ需給の世界的な偏りが影響してコンテナ確保が難航していること、コンテナ運賃が急上昇していることなどを指摘しています。
ただ、今回の木材価格急騰の原因となった米国製材価格は反落局面に入っており、指標となるカナダ産SPF2×4製材(№2&ベター)価格は直近最高値の1640㌦(工場渡し、1000BM、ノミナル)から6月第3週は1200㌦へ27%下げ、今回の高騰で大きな影響を及ぼしたシカゴ商品先物市場の価格は1050㌦前後と最高値(1750㌦)比で40%下落しました。引き続き、商品先物市場の動向を注目していく必要がありそうですが、転機を迎えたものと考えられます。

このコラムでも指摘しましたが、コンテナ船の海上船運賃は米国発日本向けが2430㌦(40㌳1本)と19年1月比で94%高、欧州発日本向けが3030㌦(同)と118%高になっています。40㌳コンテナ1本に40㎥の製材を入れる場合、米国発は㎥当たり61㌦(19年1月31㌦)、欧州発は同76㌦(同35㌦)となり、コンテナ確保と合わせ、海上船運賃高は別の輸入コスト高要因です。

欧州市場動向は、20年第2四半期、コロナ禍で建設活動が落ち込みましたが、20年第3四半期以降回復しており、現状のEU域内需要は木材製品を含め活発になっています。また、欧州産針葉樹製材(主にホワイトウッド=ホワイトスプルース、トウヒ属)の米国市場向けが大幅に増加しています。

中国市場は内需で木材需要の増加が続いており、過去10年間で1.8倍に増加、19年は4500万㎥の木材が輸入されました。ただ、米国およびカナダからの針葉樹製材輸入は今年に入り大幅に減少しています。№3などの下級グレードを主体に輸入していましたが、米国の製材価格高騰で下級グレードも急騰し、さすがに買いきれなくなっているようです。

1993年の米国製材価格高騰では、環境問題、具体的には米国西部沿岸に生息する斑フクロウの生息地保全を理由とした米国有林の伐採、販売規制が原因で、中国ファクターは全くありませんでしたが、四川大洪水に伴う中国国内の森林伐採規制強化を発端に、2000年代以降、世界の木材貿易で影響力を強めており、現状は最大の木材輸入国となっています。

世界の木材貿易を見ると、改めて日本の購買力低下を感じます。それだけに、日本は国産材資源を活用する時期に来ています。今回の木材価格高騰では、国産材にも代替需要が大量に入ったことで、かつてないほどの価格高騰が起きています。山元や製材工場にとっては大歓迎といえる状況です。これまでの国産材価格が安すぎたということです。
ただ、商品の競争力は価格、供給、品質の安定にあり、国産材関係者は今後、これらの安定に注力する必要があります。せっかく木造率が向上してきたのに鉄骨造やRC造などに住宅等の建築資材需要を取られることだけは避けねばなりません。ロシア材アカ松KD野縁代替で、鋼材による軽天材野縁需要が増えていると聞きます。

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