木の哲人講座~造作材~ 主な造作材を紹介します(5)

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押し入れ(おしいれ)

押し入れは主に和室において、寝具、衣類、道具などを収納するための空間です。通常、押し入れの四方のうち、三方は壁で、一方を襖(ふすま)で仕切ってあります。江戸時代以降、一般化したと言われます。押し入れは中板で上下二段に仕切られることが多く、中板(棚板)、前框、後框、根太、留め木、押さえ板で構成されます。


[代表的な押し入れ配置。真壁の柱内法に襖が納まっています]

寝具の収納を想定しており、布団を3つ折にしたサイズで畳一畳分を基本とし、間口6尺(約182センチ)、奥行き3尺(約90センチ)が標準とされています。押し入れの上部にある収納を天袋といいます。枕棚は押し入れの上部やクローゼットの上部に設けられた棚を指します。押し入れは寝具の収納スペースで、通常は締め切ることから、特に湿気に注意する必要があり、スノコなど通気性をよくするための部材が用いられます。

近年は住宅の洋風化に伴い、ベッドを使用するようになり、あえて寝具を出し入れするための押し入れを設置することが少なくなっています。衣類等の収納は折れ戸のクローゼットが主流になっています。


[オープンな収納スペース、クボデラ㈱施工]

押し入れのある住宅のリフォームでは、襖を取り払った新たな収納スペース、収納以外のユーティリティスペースとすることもあり、押し入れリフォームに関連したホームページを拝見すると面白い工夫が見られます。
クボデラでは施工が容易な押し入れセット、枕棚セットを製造しております。いずれも前框、後框、根太、雑巾摺りがセットされております。


[クボデラの押入・枕棚セット]

*襖(ふすま)

渡来した建具技術とともに、我が国で独自に発達した紙貼りの建具で、中国渡来の紙を貼ったものもあることから、襖のことを唐紙(からかみ)ともいいます。縁付き、縁なし、源氏、腰貼り、帯貼り、細工貼りなどの襖があります。木製の骨組みを下地とし、和紙を貼っていきますが、和紙を下貼りする回数で並物から特上まであり、使用する和紙も多様です。襖や障子などの建具技術をベースに、木枠に合板等を貼った木質パネルによる木質プレハブ住宅工法が開発されたといわれます。

格子(こうし)

伝統的な木造住宅で、窓や戸の眺望機能を損なわずに、防犯、通風、採光、日除けの機能を高めるため、棒状の木材を縦、横、あるいは両者を組み合わせ、建物本体や建具に取り付けた外部部材です。意匠性も重要で、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている奈良県橿原市の今井町や奈良町都市景観形成地区で知られる奈良市のならまちでは、木製格子を用いた歴史的な木造建造物が多数現存しています。木製のほか、アルミなどの金属製もあります。近年ではルーバーを用いることもあります。


[ならまちの格子のある古民家。深い軒、卯建(うだつ)、漆喰仕上げの土壁が印象的です]

*ルーバー

ルーバーは、羽板と呼ばれる細長い板を、隙間をあけながら組んだ部材です。直射日光や雨水を遮断する、外部からの人の視線を遮る、外部の騒音を軽減する、通風を取り込むといった機能があります。窓回りをはじめ、エアコンなどの家電回りなどに用いられますが、近年は、意匠性を重視した大型の不燃処理木製ルーバーを採用するケースも増えています。
体育館の内装で、ボールなどが壁面に当たった際の衝撃を緩和するとともに、体育館内部の通風を促すための専用のルーバーも開発されています。無垢の木材、人工木材、アルミ等の金属、ガラスなど様々な材料があります。外部環境に面した部位で使用する場合は耐久性も重要になります。


[木製ルーバーを独特の意匠で設置した外観です]


[和室収納の例、クボデラ㈱施工]

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