木の哲人講座~造作材~ 主な造作材を紹介します(2)

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幅木(巾木、はばき)

壁と床の接する部分に設ける化粧の横板です。壁面の納まりをきれいに見せ、壁の最下部の床と見切りのために使用されます。また、壁最下部の隙間をふさぎ、掃除の際に壁を保護する目的もあります。

伝統的な畳敷きの和室では、幅木としての役割で使用されることはありませんが、大壁工法の洋風住宅では重要な造作部材で、回り縁と幅木を同色にコーディネートすることもあります。様々な基材を原材料とした幅木が建材メーカーから販売されています。
大壁工法における主な幅木は、形状によって、壁の面より出る納まりの出幅木、壁面と同一の面で納める平幅木、壁面より引っ込ませる入り幅木などがあります。


[国産材を使った造作工事、大工の腕がものをいいます]

額縁(がくぶち)

窓などの室内側に四方にまわった細い材のことです。扉の周囲にまわるものは下枠がなく、四方にまわる額縁ではなくても、窓枠と同じ断面なので額縁と呼ばれることがあります。
開口部と壁仕上げとの見切りの役割を果たし、絵画の額縁のように四周に廻っているので、額縁といいます。無垢の木材が使われてきましたが、近年は窓などの開口部建材を販売する建材メーカーが、施工性に優れた開口部システム造作材の一つとして、額縁商品を多数販売しています。MDF基材のもの、表面仕上げもオレフィンシート貼りのものなど材料も多様化しています。

出隅・入隅(ですみ・いりすみ)

造作部位以外にも使用される建築用語です。出隅とは外側に向いた隅部、入隅は内側に向いた隅部です。出隅は壁や板などの2つの面が入り合ってできる外側90度の角につける化粧材、入隅は壁や板などの2つの面が入り合ってできる内側のへこんだ角につける化粧材をいいます。
建材メーカーではこうした隅部化粧用にシステム造作部材が充実しており、室内のカラーコーディネートを重視したオレフィンシート貼りによる多様な色柄を取り揃えています

見切り(みきり)

造作部位における見切りとは、天井仕上げ面と壁仕上げ面、壁の腰板部分と上部のクロス部分など、材と材が異なる部分を美しく収めるために取り付ける部材です。一つの内装部材施工が終了したときにできる直線部を、見苦しくないように加工することを見切るといい、見切ったところに入れる細長い部材を見切り縁といいます。
住宅に限らず、様々な建築物内装で、見切りは意匠の上でも大切です。伝統構法でも見切り縁を用いて見切ります。見切りは床をはじめ、壁や階段など異なる部材の境目に使われています。


[洋間内装に木材を大胆に使用し見事な立体空間を演出]

窓枠(まどわく)

窓はガラス、サッシ、窓枠で構成されています。建物に開口部に設けることで、出入り、採光、換気、眺望などの役割を果たします。また、窓を閉じることで風雨や寒さを防ぎます。防犯上でも重要な部位です。近年は建築物の断熱性能を総合的に考えていく省エネ基準が制定され、窓の断熱性能が重視されるようになりました。
窓枠は窓の建具の外周を構成する枠部材です窓枠の周りをさらに囲んだものが額縁(ケーシング)です。装飾的な意味合いの強い部材でもあります。現在はアルミ等のサッシ(窓全体)が大半で、アルミサッシの外周の室内側の枠を指します。
窓枠の多くは木製ですので、サッシやガラスの断熱性能が悪いと、結露によってカビが発生し黒く変色しやすい部位です。窓枠も建材メーカーによる窓との一体型システム造作が多数販売されています。
木造真壁の窓回りで引き戸を用いる場合、上枠は鴨居、下枠は敷居となり、たて枠は柱が兼用します。
主な窓の種類としては、引き違い窓、片開き窓、両開き窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、内倒し窓、ルーバー窓、はめ殺し窓、天窓などがあり、一般仕様、防火戸仕様、また、材料もアルミ製、樹脂製、木製と様々です。

*窓について 
窓は採光や換気機能のほか、気密性、雨水の侵入を防ぐ水密性、耐風圧性などが大変重要ですが、建物の大きな開口部でもあり、近年は窓の断熱性能、遮音性能、遮熱性能、結露対策の防露性能、防犯性能が重視され、性能の数値化も行われています。
ガラス面も、従来の単板ガラスから、複層ガラス、Low-Eガラスなどが開発されてきました。上記した性能の多くはJIS、建築基準法、住宅性能表示制度などで数値化され、特に断熱性については熱貫流抵抗で表されます。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律では、住宅の省エネルギー性能について、住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準、設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準の二つを基本に据えています。
同法律では外皮の性能基準について、断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率」、日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率」があります。いずれも外皮の部位の面積の合計に対する指標です。外皮平均熱貫流率では、外皮熱貫流率(UA値)という算定値が用いられます。窓は特に重要な部位となります。

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[近年は高性能木製サッシも多数開発されています]

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